2003年9月26日(金)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク24日遠藤誠二】ニューヨークの国連本部で開かれている国連総会の一般討論は二日目の二十四日、ドイツ、中国、パキスタンなど安保理理事国が演説。軍事優先の米国の単独主義を批判する発言が相次ぎました。
ドイツのシュレーダー首相は、「平和が脅かされ人権が侵害されるどこにおいても、われわれは断固として、効果ある多国間の戦略を追求しなければいけない。しかしそれは、人々が自由と寛容のもとで暮らすことができるため、戦争を防ぎ安定した機構を進めるものでなければいけない」と発言。多国間での合意模索を無視してイラクへの戦争に踏み切った米国の単独主義を間接的に批判しました。
シュレーダー首相はまた「国連だけが、独立した政府のもとでイラク国民自身の国家を迅速に築き上げる合法的な保障となる」とも述べ、イラク国民への主権回復は国連主導で進めるべきだとの考えを示しました。
同首相はテロ対策や核兵器不拡散に関し「軍事や治安に狭く焦点をあてた戦略は失敗する」と言明。自国でのナチス時代の経験を引き合いに出し、警告を発しました。
中国の李肇星外相は、「中国は将来、緊密な国際協力、多国間協力主義、世界の多極化に基づく人類の幸福な結びつきという見通しをもっている」「多極化とは、大小、貧富、強弱の差がなく、すべての国が平等でいること、他の諸国に対し誰も自分の意思を押し付けることができないという、新しい時代の国際関係だ」と述べ、大国主義がまかり通る時代を過去のものにする必要性を説きました。
李外相はまた「国連と安保理が主導的な役割を維持するための義務をすべての国が負う」「中国はイラクの戦後で重要な国連の役割と、イラク国民が早い時期に主権を取り戻すことを支持する」と述べ、国連主導のイラク復興を支持する考えを改めて表明しました。
パキスタンのムシャラフ大統領は、「イラクの安定化と主権、治安の回復を実現するため、国連は統一した考えを早急に出すべきだ。国連のコンセンサスは、イラク国民がイラクの政府を完全に代表し、占領を終わらせるための政治過程に参加できるようにしなければならない」と述べ、イラク国民への早期の主権移譲を主張しました。