2003年9月29日(月)「しんぶん赤旗」
難病の医療費自己負担の仕方が十月から大きく変わりますが、実施目前にして患者数の多い自治体で、新しい医療受給者証の交付が大幅に遅れていることが二十八日までにわかりました。患者が受給者証のないまま受診した場合、万円単位の窓口負担となる恐れがあります。
福岡県は対象者が二万二千人弱。二十六日時点で受給者証を一枚も発行していません。患者は自分が病院でいくら支払えばいいのかわからない状態です。県は「九月末から発行を始める」としています。
大阪府は約三万六千人に対して二十六日時点で約一万五千人、千葉県は約二万三千人に対して二十四日時点で八千四百人にとどまっています。東京都は約五万人に対して四万一千人、埼玉県は約二万五千人に対して二万二千人、神奈川県は約三万五千六百人に対して二万九千五百人に九月中に交付する見込みです。
現行の患者負担の上限額は一律定額ですが、十月から所得によって七区分に分けられます。受給者証に区分と負担上限額が記入されます。
受給者証のない患者は、加入する医療保険の負担割合(一〜三割)をいったん窓口で支払い、後で役所に申請して上限額を超えた分を払い戻してもらいます。難病には高価な検査があり、万円単位の窓口支払いの恐れも。坂口力厚生労働大臣は「負担は無理のない範囲内で」と無責任な国会答弁をしていました。
新制度への認定申請期間はわずか二、三カ月。所得証明など書類をそろえる煩雑さに加え、少ない専門医に患者が集中し複雑になった調査票記入に医師が手間取るなど、「申請期間内に間に合わない」と患者も医師も批判していました。
日本共産党国会議員団は新制度の「実施延期」を国に要請しています。