2003年10月1日(水)「しんぶん赤旗」
前駐レバノン大使の天木直人氏(56)=八月二十九日付で外務省退職=は三十日までに本紙の取材に応じ、「私の外務省退職は、アメリカのイラク戦争に支持表明した日本政府を批判する意見具申への事実上の懲戒的な解雇だった」と語りました。
天木大使は、アメリカがイラク戦争を開始する前と開戦後の二回にわたって本省にたいし、アメリカの武力行使を食いとめる外交努力を求める意見を送りました。
天木氏は「他の中東アラブの人々と同じようにレバノン人は日本に敬意と親愛を持っている。私はレバノン人の親日感情に支えられ日本国を代表する大使としての任務を遂行してきた。日本政府のあからさまな米国支持の表明はレバノン人を驚かせ、失望させた。平和憲法を誇りにする日本こそ、世界に先駆けて平和の実現に貢献すべきだと考え、そのことを小泉首相に知ってほしかった」と意見具申の動機を話しています。
これにたいし天木大使は外務省本省幹部から電話でしっ責され、追って本省から「帰朝命令」が出され、七月中旬に帰国しました。
天木氏は一九六九年、外務省入省、中近東アフリカ局アフリカ二課長、オーストラリア、カナダ各公使、米・デトロイト総領事を経て二〇〇一年からレバノン大使。