2003年10月2日(木)「しんぶん赤旗」
「これほど明りょうなアメリカ批判の事実さえ認めない。これこそアメリカいいなりだ」。日本共産党の志位和夫委員長は一日の衆院予算委員会で総括質問に立ち、イラク問題をめぐる小泉内閣の米国追随姿勢をさまざまな角度から追及しました。米国の先制攻撃論を批判したアナン国連事務総長の発言を、米国批判と認めず、「アナンさんに聞いてくれ」などと開き直る小泉純一郎首相の珍答弁も飛び出し、異常な米国追従ぶりはいよいよ明白になりました。
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アナン演説は、先の国連総会でおこなったもので、アナン氏は、名指しは避けながらも、米国の先制攻撃論について、「過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則(国連憲章の原則)にたいする根本的な挑戦」と批判しました。ところが、小泉首相は、この間の国会答弁で、アナン氏の批判を「一般論」とごまかしてきました。
「そんなごまかしは到底通用しない」と志位氏は、アナン発言が、「若干の国」「ある国」という言い方で、「現実に世界に存在している国が現実に唱えている論理を批判したものである」ことを、演説に即して具体的に指摘し、「アナン氏の批判はアメリカにたいする批判だという認識はあるのか」と追及。「アメリカは国連憲章にもとづいてイラク戦争を開始した。見解の相違だ」と逃げる首相に、志位氏は「国連憲章違反というのは世界の常識。アメリカ批判だということを認めないのか」とたたみかけました。
たまりかねた小泉首相は「それは、アナンさんにじかに聞かないとわからない」と答弁、委員会室は騒然となりました。
小泉内閣の米国追随ぶりは、イラクへの自衛隊派兵問題でも際立っています。首相は、七月には「状況を見て派遣しない場合もあるし、派遣する場合もある」としていたのに、九月になると、「(自衛隊がいかない選択肢は)ありません」と断言し、立場を変えました。
志位氏は「どういう状況を見て、そう判断したのか」と根拠をただしましたが、首相はまったく答えられませんでした。志位氏は、「答えられないのは、アメリカの圧力だからだ」と述べ、八月末にアーミテージ米国務副長官が、イラク情勢の悪化に派兵をちゅうちょした日本政府に対し、「逃げるな」「お茶会じゃない」と派兵を迫ったことを指摘。「イラクへの早期の自衛隊派兵に傾いたのもアメリカの一喝だった。アナン国連事務総長が批判しても、アメリカへの批判だと絶対に認めない。こういうアメリカいいなりに進められるイラク派兵計画は中止すべきだ」と要求しました。
「首相在任中の三年間は消費税を上げないというなら、少なくとも三年間は政治献金を拒否すべきだ」。志位委員長は、日本経団連が消費税の大増税を求める立場から各政党の政策を評価して、企業献金あっせんを再開しようとしている問題をとりあげ、小泉首相の姿勢を追及しました。首相は「私は上げないといっているのに経団連が献金しますというんだったら、喜んで受け取ります」と平然と答え、議場は爆笑とヤジで騒然となりました。
日本経団連は、献金あっせんの政党の評価基準となる「優先政策」の第一項目に、「経済再生、国際競争力強化に向けた税制改革」として法人税率引き下げと企業の税・社会保障負担の軽減を掲げ、第二項目に「将来不安を払拭(ふっしょく)するための社会保障改革」として「消費税率の引き上げを検討する」と打ち出しています。
これは、「大企業減税と消費税増税という財界の野望をカネで買い取ろうという最悪の政治買収」(志位氏)そのものです。それでも、「喜んで献金を受け取る」と言い放つ首相にたいして、志位氏は「小泉内閣が消費税増税への環境をつくる内閣だという正体みたりだ」とぴしゃりと批判しました。
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