2003年10月2日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン30日遠藤誠二】米司法省は三十日、ホワイトハウス当局者による米情報中央局(CIA)諜報員名の漏えい問題をめぐり捜査を開始しました。イラク戦争での情報操作疑惑をめぐる政権側の犯罪として司直の手がのびたことになり、事態の発展次第ではブッシュ政権に深刻な打撃を与える可能性をはらんでいます。
ブッシュ大統領は三十日、捜査が始まったことを認め、「これはよいことだ」と述べ、この問題をめぐり「政権のだれが漏えいしたのかは分からない」と言明しました。
捜査の対象となったのは、ホワイトハウスの高官が、CIA諜報員の名を一部の米報道機関に漏らしたことです。
米メディアの報道によれば、イラクのフセイン前政権が西アフリカのニジェールでウランを調達しようとしているとされた問題を調査したウィルソン前駐ガボン大使は、そのような証拠はないと報告しました。
にもかかわらず、ブッシュ大統領が一般教書演説で虚偽の指摘をしたため、同氏は政府を批判。その後、ウィルソン氏への報復としてホワイトハウスの高官が、ウィルソン氏の夫人がCIAの諜報員だとの機密情報を報道機関に漏らしたとされる問題です。
同疑惑が事実ならば、連邦情報保護法に違反し、十年以下の懲役となります。現在までに疑惑の人物として名前があがっているのは、テキサス州知事時代からのブッシュ氏の側近中の側近でブレーンのカール・ローブ大統領上級顧問。政権の中枢を担う人物の疑惑は、イラク侵攻・復興をめぐり批判が高まっているブッシュ政権にとって重大な痛手となる可能性があります。