2003年10月4日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン2日遠藤誠二】米国が新たに提示したイラク問題での新修正決議案の非公式協議が二日国連安保理で始まり、米案への批判、不満が集中しています。新修正決議案は、イラクへの多国籍軍派遣を求める一方で、事実上現在の米英軍による占領体制を維持し、そのもとでの「復興」の国際支援強化を求めるもの。米国主導の占領体制への国際的批判が国連安保理の場で、新たに展開されそうです。
アナン事務総長は同日、安保理各国大使との昼食会で、米修正案について、占領体制の早期終結、イラク国民の暫定政権の早期樹立と主権の移譲という「私の勧告には明らかに沿っていない」と明確に批判。「根本的な変化にむけ努力しなければいけない」と強調しました。
また同事務総長は「安全な環境がない限り、国連がイラクで大きな責任を負うのは極めて困難だ」とも述べ、米軍占領下では、国連主導の復興支援は困難と改めて主張しました。
米政府当局は、新修正案について、イラク戦争とその後の占領政策を批判しつづけるフランスやドイツの主張も考慮して修正したとしています。しかし、フランスのドラサブリエール国連大使は、「(修正案は)われわれの期待に応えていない」「本質問題でドイツとともに提出した提案の内容はない」「国連に補助的役割しか与えていない」と批判しました。
また、ドイツのプリューゲル国連大使は、自分たちが提起してきた内容を「見い出すのはいささか難しい」と語っています。
米国の修正案はイラクでの部隊・資金の分担を各国に求める狙いもあり、二十三日からスペインのマドリードで始まるイラク支援国会合までの採択をめざしています。しかし、多国籍軍も結局米軍の指揮下におき、イラク暫定政権への権限移譲を遅らせて国連の役割を制限するなど「決議案全体の趣旨に問題がある」(チリ国連大使)などの不満が非常任理事国も含めて安保理内に広がっています。