2003年10月5日(日)「しんぶん赤旗」
【ワシントン3日遠藤誠二】フセイン政権時代の大量破壊兵器を捜索している米調査団長のデービッド・ケイ中央情報局(CIA)特別顧問による連邦議会への報告が三日、終了しました。中間報告との形をとりながら「大量破壊兵器は発見していない」との結果が出たことで、イラク侵攻を強行したブッシュ政権への批判が、いっそう強まっています。
三日午前、ホワイトハウスで演説したブッシュ大統領は、調査団の報告は、「フセイン政権が、国連安保理決議一四四一を順守せず国際社会を欺いた、世界にとっての脅威であったことを示した」などと発言。兵器保有の事実を確証できない報告が出たにもかかわらず、フセイン政権が国連決議に違反したと断言しました。報道陣からは、兵器が見つかるまで調査を「無期限に行うのか」との皮肉まじりの質問が返ってきました。
ペロシ民主党下院院内総務は三日の記者会見で、「報告では差し迫った脅威などなかったことが明らかにされた。戦争に入る前に外交努力にむけた時間があったことも判明した」と指摘。ケイ団長が要求する半年から九カ月の調査継続については「もし調査団が兵器計画の疑惑がもたれる証拠の痕跡を発見したとしても、(フセイン政権による)兵器保持からは程遠いものとなろう」とし、調査継続はあまり意味がないとの見解を示しました。
上院軍事委員会前委員長のレビン議員(民主党)は中間報告がイラク戦争前のブッシュ政権の説明と食い違っていると指摘。どの過程で情報が誇張、操作されたのかを調査する必要性が高まったと主張しました。
ニューヨーク・タイムズとCBS放送は三日、共同世論調査の結果を発表。それによると、ブッシュ大統領の「外交政策を支持する」と答えた人は44%と、「不支持」の45%を下回りました。「国際的な危機に対処する能力がある」と回答したのは45%で、開戦直後の四月時から21ポイント低下。「犠牲と費用を払ってまでイラク戦争を行う価値があったのか」との設問には、53%が「価値がない」と答えました。