2003年10月9日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン7日浜谷浩司】国連のアナン事務総長は七日、ニューヨークの国連本部内で演説し、ブッシュ米政権の単独行動主義に基づく先制攻撃戦略を厳しく批判、多国主義の枠組みに立つよう米国に求めました。九月二十三日の国連総会一般討論での演説に続き、ブッシュ・ドクトリンを重ねて批判したものです。
このなかで同事務総長は、「個々の国が、国連のもたらす正当性を無視して、武力を単独でも先制使用できるし、また、そうすべきだと考えるなら、世界はさらに危険なものになる」と警告しました。
さらに、米国の単独行動主義の背景には「自分たちが独特のぜい弱性をもっているとの懸念」があると指摘。集団的な、多国間協力による行動によってこそ、そのような懸念に対処できることを示さねばならないと述べました。
同事務総長は、「国連を通じた活動こそが米国の利益にもかなうと確信する」と指摘。国連創設当時の米政府の姿勢を引き合いに、国連憲章に基づく「多国主義の枠組み」の重要性を強調しました。同事務総長はさらに「問われている選択は、多国主義か単独主義かではない。協力か破滅かだ」とクギを刺しました。演説は米国のアフリカ系市民団体指導者の集まりで行ったものです。