2003年10月11日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 フランスの失業保険給付は最長六十カ月、と聞きましたが、他の国ではどうなっていますか。(大分・一読者)
〈答え〉 各国の失業保険のしくみはその国独特のものが多いのですが、厚生労働省所管の特殊法人だった日本労働研究機構(今年、独立行政法人労働政策研究・研修機構に移行)発行の「データブック国際労働比較」二〇〇三年版などから、概略を知ることができます。
各国の失業保険給付期間をみると、▽フランス…年齢・離職前雇用期間に応じ百二十二日〜千八百二十五日(約六十カ月)▽ドイツ…被保険者期間・年齢に応じ六〜三十二カ月▽イギリス…保険料の拠出にもとづく給付は最大百八十二日(約六カ月)─などとなっています。
スウェーデンは労働組合の基金により異なりますが、週五日労働の考えから一週五日分で、最高三百日、五十七歳以上は最高四百五十日となっています。
なおこれらの国では、失業保険の給付期間が切れるなどで受給資格を満たさない失業者に、原則として政府の全額拠出による失業扶助などが行われていることが知られています。求職活動している低所得者などに給付するもので、ドイツやイギリスなどでは原則無期限です。
アメリカは州ごとに異なりますが、賃金・就労日数に応じて四〜三十週となっています。
このように、おもな資本主義国ではアメリカを除き、給付期間が日本の九十日〜三百三十日よりも概して長く、給付終了後も政府の失業扶助などがあります。アメリカでさえ長期失業者が増大した九〇年代前半には、州の給付が終わった失業者に連邦政府が全額負担で給付する、緊急失業補償制度を導入しました。失業が増大し長期化しているのに、保険料を引き上げ給付は削減し、「倒産・解雇による失業」と認定されない失業者の給付は最長百五十日に短縮するなど、雇用保険改悪をすすめる自公政府は異常さがきわだちます。
(水)
〔2003・10・11(土)〕