日本共産党

2003年10月13日(月)「しんぶん赤旗」

イラク戦争無反省

ブレア首相に批判続く

英労働党は、支持・党員が激減


 イラク戦争をウソの情報で強行したとして支持率が下がりつづけるブレア労働党政権。九月末から十月初めにかけて開かれた労働党大会でブレア首相は、イラク戦争強行を開き直り、占領継続を表明するなど、国民の声に答えるものにはならず、ブレア首相の辞任を求める声はいっそう高まっています。(ロンドンで西尾正哉)


遺族の怒り

 「戦争を振り返れば、彼はむなしく亡くなったと感じる」―イラク戦争で息子を亡くしたゴードン・エバンズさん(46)は十日、ロンドンのセントポール大聖堂で行われたイラク戦争で死亡した五十一の英軍兵士の追悼式に出席して報道陣にこう語りました。戦死者の遺族の中にはブレア首相への怒りが強く、二遺族が欠席。遺族からはブレア首相への非難も聞かれました。エバンズさんは「ブレア氏のためにでなければ、きょうの式典は必要なかった」といい切りました。

 式典は、イラク戦争後の英国社会の受けとめを象徴しているかのように「怒りと涙」(インディペンデント紙十一日付)が支配しました。いま、一九八〇年代のフォークランド戦争でのように勝利の「祝典」や兵士に感謝をささげる催しなどの開催を求める声は一切でてきていません。

 ブレア首相は労働党大会の演説で、イラク問題では「再び同じ決定をしうるだろう」と語り、国民を戦争へと導いたことに悪びれもせず、居直りました。大会全体ではイラク戦争批判は少数にとどまり、ブレア首相に対し党内左派や労働党加盟団体の労働組合から強い反発が出ました。鉄道海上輸送労組(RMT)はイラク戦争を非難する緊急決議を提案。同労組の代議員は「イラク戦争は四十五分で大量破壊兵器が配備可能などという虚偽の理由で行われた。戦争にはまったく正当性がない」などと厳しく批判しました。

 大会の十日前、ロンドン北西部ブレント・イースト選挙区の下院補欠選挙で労働党は同党が伝統的に占めてきた議席を自由民主党の候補に奪われました。投票率は36%で労働党の得票率は前回総選挙の63・21%から33・76%へと激減。英各紙はイラク戦争が労働党敗北の原因と指摘しました。ブレア労働党がイラク問題で敗北したのはこれが最初ではありません。五月の一斉地方選挙では全国で二割以上にあたる八百議席を減らしました。

市民の抗議

 大会初日にはオブザーバー紙が労働党員の57%が戦争は間違っていたと考え、41%がブレア首相の辞任を求めていると伝えていました。ブレア首相が党大会で演説した九月三十日の早朝、「ウソつきブレアはやめろ」などと書かれたプラカードを掲げた市民が大会会場前に集まりました。その中の一人、ボーンマスの隣町、サウサンプトンから駆けつけたニナ・ランバートさん(59)は、「労働党の大会に期待するものは正直言ってあまりない。大学の学費値上げ、国民医療制度(NHS)の改悪案などに道を開こうとする大会だもの。過去には労働党に投票した。でももう二度と投票しないことに決めている」と話しました。

 労働党の党員数は最近、めっきり減少しています。労働党が政権を奪還した一九九七年には四十万人を数えた党員は昨年は二十四万八千人に減少。今年は大会で党員数が発表されなくなりました。労働党大会会場前で「労働党を救え」と訴えるグループのビラは、地域で選挙時に働く活動家が減少していることを嘆いていました。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp