2003年10月16日(木)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク14日浜谷浩司】米国が十三日に国連安保理に提出したイラク問題での新たな修正決議案について、アナン国連事務総長をはじめ、ロシアやフランス、ドイツなどは依然としてこれを厳しく批判しています。
しかし、米国はイラク占領の継続にあくまで固執しており、意見の違いを残したまま、十五日にも採決に持ち込む構えです。
アナン事務総長は十四日、記者団に対して、米国が「基本的な考え方を変えていないことは明らかだ」と指摘。さらに、「占領が続く限り、抵抗は拡大する」との見方を明らかにしました。
事務総長は、主権を早期に移譲し、米国による占領を終結させることが重要だとの認識から、占領継続を前提にした米提出の決議案に事実上の反対を表明していました。今回の決議案も、「権力の全面的な移譲までは、占領権力が当局であり、政府である」との立場に立ったものだと指摘して、同案に不同意の姿勢を示しました。
一方、ロシアやフランス、ドイツ、中国などは同日、占領終結の時期の明示をはじめとして六項目にわたって、決議案のいっそうの修正を米国に求めました。しかし、米国は、焦点となった占領終結の時期の明示をあくまで拒否しているもようです。
アナン事務総長が要求していた国連の「中心的役割」の規定は、米国の強硬姿勢の前に、ロシアやフランスが譲歩を余儀なくされた形で、問題は主権の早期移譲に絞られてきています。
ただ、アナン事務総長は同日の発言でも、決議案では国連の活動に「制限がある」と述べ、国連に中心的役割を認めない決議案では、活動が依然として困難であることを認めています。
【プトラジャヤ(マレーシア)14日岡崎衆史】マレーシアのサイドハミド外相は十四日、米国が提示したイラク新決議案について、「重要なことは国連に中心的な役割を与えることだ。そうでなければ、なお多くの問題を抱えることになる」と述べ、不満を表明しました。
同外相が議長を務めるイスラム諸国会議機構(OIC)閣僚会議が開かれている当地の会議場で、記者団に語りました。
サイドハミド外相は、新決議案が、イラクの主権回復のための日程表を今年の十二月十五日までとしたことなどについて、「終わりがない状況よりも、終わりのあることのほうが重要だ」「国連が、監督し、すべての行為を引き受けるべきだ」と述べ米国案を批判しました。