2003年10月20日(月)「しんぶん赤旗」
憲法九条を守って世界平和の先頭にたつ日本か、それとも憲法改悪でアメリカの戦争に参戦する日本か。
自民党が改憲を選挙公約にかかげた今度の総選挙は、二十一世紀の日本の進路を大きく左右し、世界にも影響を与える選挙になります。
自民党の政権公約(「小泉改革宣言」)は、「二〇〇五年、憲法改正に大きく踏み出します」とし、それまでに国会法改正、国民投票法制定など、改憲の体制をつくりあげるというのです。
野党の民主党も、政権公約の政策の冒頭に「『論憲』から『創憲』へ発展させます」とかかげています。
こうした改憲にきっぱり反対し、改憲勢力にたちむかっているのが、日本共産党です。
自民党が改憲を公約にかかげたのは、アメリカに改憲を迫られて解釈改憲を重ねてきたものの、いまやそれでは自衛隊が海外で米軍の戦争に参戦するのに間にあわなくなってしまったからです。
それは、小泉首相が就任直後の記者会見で「米軍が攻撃されて日本が何もしないことができるか」と改憲を強調したことでも明らかです。
小泉内閣は、イラク戦争への自衛隊派兵を「非戦闘地域に」と強弁していますが、九条を改廃すれば、イラクはもちろん地球上のどんな戦場でも自衛隊が米軍とともにたたかい人々を殺傷できることになります。
自民党憲法調査会の改憲案が「自衛軍」を「国際貢献」に出動できるとしているのは、そのためです。
与党の公明党や保守党などが、「加憲」や「改憲」を公約にしているのも同じ理由です。
自民党に呼応するように、民主党も、憲法九条をさらに拡大解釈し国連決議があればイラクで多国籍軍への自衛隊参加を認めるとするとともに、党憲法調査会中間報告では「憲法前文及び九条自体を見直す方法も」とのべ、憲法前文と九条の改憲を選択肢としています。
同党の「次の内閣」安全保障大臣は、憲法前文が定める「戦争を起こさない」決意は重要だが、「戦争が起きる」可能性は排除できず、集団的自衛権を行使できるよう改憲が必要だと雑誌でのべています。
これらの改憲論は、日本を再び戦争の道に進ませるもので世界の発展方向に根本的に逆らったものです。
国際社会が求めているのは、紛争を戦争ではなく、国連憲章の平和のルールにより解決することであり、日本が憲法にそって非軍事・平和の方法で貢献することです。
憲法九条は、憲法制定議会で提案者が「平和愛好国の先頭に立ち正義の大道を踏み進んで行こうという固い決意を明示」したとのべたように、世界に誇る先駆的な「平和の宝」であり、二十一世紀の世界の流れに合致したものです。
憲法は、日本が戦争に突き進むのを阻止し、基本的人権、国民の社会的・経済的権利の保障など、平和と国民の暮らしをまもるうえで現実に大きな役割を果たしています。
日本共産党は、現行憲法の全条項を厳格に守り、とりわけ九条をはじめ平和的民主的条項を政治・経済・外交・社会のすべての分野に生かす立場から改憲に反対します。
戦前、侵略戦争反対を貫いた日本で唯一の政党として、日本共産党は改憲の計画を中止させるため全力をつくします。憲法を守る一点での共同をよびかけています。
日本の進路を大きくゆがめる悪政が押し寄せようとしているとき、これに正面から立ち向かう日本共産党が前進することが、世界と日本の平和、国民の暮らし・権利を守るうえで決定的な意味をもっています。