2003年10月20日(月)「しんぶん赤旗」
十六日からクアラルンプール近郊のプトラジャヤで開かれたイスラム諸国会議機構(OIC)首脳会議は十七日、最終コミュニケなどを採択して閉幕しました。会議には、約三十人の加盟国首脳が参加。一般討論では米英による不法なイラク戦争・占領、一国主義への批判がでました。日本共産党の緒方靖夫国際局長・参院議員、神田米造国際局次長も公式のゲストとして出席し、他の参加者と活発に交流しました。(プトラジャヤ〈マレーシア〉で岡崎衆史)
「今日、イスラム諸国はさげすみと辱めを受けている。宗教はけなされ、聖地は汚され、国々は占領され、人々は飢え、殺されている」。議長を務めるマレーシアのマハティール首相が十六日、開会総会でこう述べ、現状から脱却するため、イスラム諸国の近代化と団結を訴えました。
この内容を具体化したのが、採択されたプトラジャヤ宣言です。同宣言には、加盟国の経済、科学、技術、文化や教育分野での協力、加盟国間や異なる文明間での対話促進、OICを効率的な組織にするための機構改革に向け、十二項目の「行動計画」が盛り込まれました。
異なる文明間の対話の必要性は、多くの首脳が強調した点でもあります。
今回オブザーバーとして初めて会議に参加した、ロシアのプーチン大統領は、ロシアとOIC加盟国の協力が、「紛争なしで、たくさんの国際的、宗教的問題を解決する方針となりうる」と述べ、対話や協力を重視する姿勢を強調しました。文明間の対話には、共産党の代表として初めてOIC会議に出席した、緒方、神田両氏と参加者の交流も、大いに貢献しました。
さまざまな意見の違いを抱えるイスラム諸国が、一定のまとまりを示し、前進の足場を築いたOIC首脳会議。マレーシアの英字紙ニュー・サンデー・タイムズ十九日付社説は、「OIC諸国は、プトラジャヤで合意したことを果たすため、具体的な一歩を踏み出さなければならない」と述べています。
会議の主なテーマは、イラク、中東問題、グローバル化、テロ、OICの機構改革、加盟国間協力、文明間の対話など多岐にわたりました。五十六カ国とパレスチナ解放機構(PLO)からなるOICは、さまざまな意見の違いを持ちながら、協議を通じて重要な点で意見の一致を見いだしました。
焦点となったのはイラク問題です。首脳会議が採択した最終コミュニケは、イラク復興問題で(1)国連が中心的な役割を果たすこと(2)広範な支持を得、完全に国民に代表された政府の樹立(3)イラクの完全な主権の回復を急ぐ必要性―を強調しました。
この問題では、参加国からさまざまな意見が噴出。米占領軍が任命したイラク統治評議会のアラウィ議長は会議最終日の十七日に、採択が予定されていたイラク問題の決議の取り下げを要求しました。議論が紛糾し、調整が続く中、議長国マレーシアなどの努力で、ようやく合意にこぎつけました。
一方、全体討論では、米国のイラク戦争や占領、また、一国主義などを批判する発言もでました。
アジアのOIC加盟国を代表して発言した、インドネシアのメガワティ大統領は、「イラクへの一方的な攻撃が地域の悪化する状況に懸念を加えてきた」と指摘。ベルケジズOIC事務局長も、「イラクの主権、独立、自由のできるだけ早い回復」「外国軍の早期の撤退」を強調しました。非同盟諸国を代表して発言したマレーシアのアブドラ副首相は、「一国主義的な方法が好まれ、多国間主義が隅に追いやられている」と懸念を表明しました。
イスラエルによるシリア空爆、パレスチナ人の抑圧、レバノン侵略を非難する、三つの宣言も採択されました。
シリア空爆に関する宣言は、米下院が空爆から十日後の今月十五日、シリア制裁法案を可決したことを「イスラエルの侵略と呼応した一方的制裁」と非難し、米政権が、「建設的対話や相互尊重の政策」を採用するように勧告しました。