2003年10月21日(火)「しんぶん赤旗」
【バンコク20日小玉純一】環太平洋二十一カ国・地域が加盟するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が二十日午後、バンコクで始まりました。日程は二日間で、貿易自由化やテロ対策、北朝鮮の核問題などを議論する見通しです。
二十日は、貿易・投資の自由化促進など経済問題を中心に討議、中断している世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)の立てなおしの必要性を確認しました。十八日のAPEC閣僚宣言にある「カンクン閣僚会議での合意を基礎とする」ことでは一致したとされます。このほか、二国間での自由貿易協定、経済の透明性などで意見が交換されました。
新ラウンドの問題では、米国が大国主導の貿易自由化をめざすWTO交渉開始をよびかけています。これにたいし議長国タイなどは、発達した諸国に妥協を求めています。またブッシュ米政権は、「対テロ戦争」への各国の支援を得ようと、閣僚会議で合意した携行式地対空ミサイルの規制に加え、大量破壊兵器の不拡散措置などでも合意をめざし、今回の首脳会議をテロ対策強化の場にする意向です。
途上国側では、テロ対策に同意しながらも、ブッシュ政権の対テロ戦略をAPECに持ち込むことに批判があります。マレーシアのマハティール首相は十九日、記者団に「APECは経済協力の集まりだ。経済問題を安全保障、軍事、政治にもっていくことには同意しない」と語りました。タイのタクシン首相は「議論が経済問題を越えて、加盟国間の関係が悪化するのを望まない」と述べています。