2003年10月25日(土)「しんぶん赤旗」
トルコのエルドアン首相は二十三日、「トルコ軍のイラク派兵は米国が要請したものだ。軍隊を無理にイラクに送る意図はない」と語りました。国会が承認したイラク派兵は困難であるとの見通しを示した発言です。訪問中のタジキスタンでトルコのアナトリア通信に述べました。
ロイター通信は「派兵の可能性は大変低い」という政治専門家の分析を伝えています。
米国はトルコの派兵をパキスタンなどイスラム諸国からの部隊派遣の呼び水とすることを狙っていました。トルコの派兵が中止されれば、イラク派兵国がさらに減り、ブッシュ米政権の思惑が大幅に狂う可能性もあります。
トルコ国会は七日、イスラム国としては初めてイラクへの軍派遣を可決し、派遣規模は一万人とされていました。しかし、派兵した場合にトルコ軍が米軍と同様に「占領軍」とみなされることに懸念が広がり、国民の七割以上が派兵に反対しています。
イラク内のクルド人勢力がトルコの派兵に強く反対し、米軍が主導するイラク統治評議会の内部からも反対意見が続出。十六日には、統治評議会のメンバーでクルド人指導者のマスード・バルザニ氏が、トルコ軍が配置されれば辞任すると警告しました。十四日には、バグダッドのトルコ大使館前で派兵に抗議したとみられる自爆テロも発生しました。
米国務省のエレリ副報道官は二十三日の記者会見で、トルコ軍の派遣について軍と政府、統治評議会とも緊密に協議を続けていると語りました。