日本共産党

2003年10月25日(土)「しんぶん赤旗」

なぜ銀行「国有化」で郵政「民営化」?


 〈問い〉 財界などが破たん銀行は「国有化」といい、郵政は「民営化」というのは、矛盾していませんか。(東京・一読者)

 〈答え〉 たしかに財界や自民党勢力などが、一方では「国有化」を要求し、他方では「民営化」を迫るのは、表面上は逆のことをしているようにも見えます。しかし、財界などにとっては、両者は同じ脈絡の中にあるものです。

 もともと破たん銀行の国有化は、債務超過に陥った銀行に国民の税金を注入して、「不良債権処理」などで身軽にしてやるのがねらいでした。いまは新生銀行となっている長銀(日本長期信用銀行)を国有化したことなどはその典型です。小泉内閣になると、「不良債権処理」の「加速」を銀行に強要し、中小企業つぶしを進める手段としての性格も強めています。米の圧力を背景に導入された「竹中プラン」のもとで、多くの中小企業を借り手にもつ、りそな銀行が実質国有化されたのは、この例といえます。

 このように国有化された銀行は、国がいつまでも持ちつづけるのでなく、最終的には売却などで市場に出されます。その買い手となるのは、旧・長銀をただ同然で買い取ったリップルウッドのような、米系金融資本が中心です。

 そして、残った銀行のもうけを、どうやって最大限に保障するかという動機から出ているのが、郵政民営化論です。銀行・生保などの相次ぐ破たんや不祥事に不信をいだいた多くの国民にとって、郵便貯金や簡易保険は“最後のよりどころ”となっています。ところが全国銀行協会(全銀協)などは、郵貯・簡保に国民の資金が集まることが、「民業を圧迫」していると攻撃しています。この意を受けて郵貯・簡保を解体・弱体化するのが、郵政民営化の最大のねらいです。国民の要求とはまったく無関係な、もっぱら大銀行や財界の身勝手な都合のための政策です。

 (水)

 〔2003・10・25(土)〕


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