日本共産党

2003年10月29日(水)「しんぶん赤旗」

米占領体制の破たん示す

イラク 激化する爆破事件

首都周辺は無政府状態


 【カイロ28日小泉大介】二十七日に連続爆破テロが発生したイラクの首都バグダッドでは、同日夜から二十八日にかけても、数回の爆発音が聞かれるなど、不穏な動きがやんでいません。またバグダッド西方約五十キロのファルジャで二十八日、警察署前で車が爆発し、少なくとも六人が死亡する事件が起きています。同様の爆発テロがイラク各地に広がる兆候も見せています。とくに首都周辺はさながら無政府状態といっていい状況で、市民は不安と怒りを強めています。

 バグダッドで二十七日、赤十字国際委員会(ICRC)本部と警察署を襲った連続爆破にかんするイラク警察発表などによると、死者三十五人、負傷者二百三十人以上。四月の米軍による首都占領以来最悪の事態となりました。

爆弾テロは14件

 死者の内訳は、赤十字職員二人を含む民間人二十六人、イラク人警察官八人。ほとんどがイラク人です。米兵は一人。

 八月十九日の国連現地本部へのテロで二十人以上が死亡して以降、ナジャフでの大規模な自動車爆破テロ、度重なる警察署爆破やトルコ大使館での爆発など、爆破テロは主なものだけで十四件にのぼります。犯人は明らかではありませんが、無差別テロの様相を強めており、市民は怒りをつのらせています。

 米軍の首都占領以来半年以上たった今、こうした事件が後を絶たないどころか激化していることは、米国による無法な戦争につづく占領体制が完全な破たんとともに、米軍がもはや治安維持を含む占領能力そのものも失いつつあることをも物語っています。

 米占領当局は治安回復のため、イラク警察の訓練と強化を図ってきましたが、多くのイラク人にとって警察と占領軍は一体。占領当局の思惑は完全に裏目に出ています。

 他方、米軍への攻撃も劇的に増えています。米軍司令官の発表でも、従来一日平均二十件から二十五件だった交戦回数が最近では最大三十五件に跳ね上がっています。

米兵死者2倍に

 米兵の死者も増え続け、五月から九月までの戦闘による死者一カ月平均十六人から、十月は二十七日現在で二倍の三十二人に達しています。

 一連の爆発事件の背後には、米占領にたいして広がる市民の抵抗と不満があります。占領がつづく限り治安の悪化も米軍への攻撃も止まらない事態になっています。


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