2003年10月29日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 綱領改定案は日本経済の基盤の弱化や、日本独占資本主義の矛盾と危機を指摘しますが、どういうことですか。 (東京・一読者)
〈答え〉 日本共産党の綱領改定案は第二章(六)で、国民の生活と権利を守る諸分野のルールが確立していない、などの問題を挙げ、「これらすべてによって、日本経済はとくに基盤の弱いものとなっており」「日本独占資本の前途にはとりわけ厳しい矛盾と危機が予想される」と指摘しています。
「日本経済の基盤」とは、個々の大企業の「V字回復」などにあらわれる短期的な損益や収益力ではありません。日本経済全体をささえる基礎的な諸条件のことです。▽労働者・国民の権利と生活が守られる▽中小企業と大企業などとの対等・公正な関係▽農業が自立的発展を保障され食料自給率が高まる▽自然環境や生活環境が守られる▽国民のくらしや社会保障を支えることが財政の中心にすわっている▽アメリカなどに経済介入されない−など、一連の諸条件が整ってこそ、将来にわたる国民経済の発展が保障されます。
逆にこれらの「すべて」が深刻に損なわれ、全面的に弱点を抱えている日本経済は、発展の道を極度に狭めた「とくに基盤の弱いもの」となっています。
たとえば違法な「サービス残業」の横行などルールなき職場の実態は、労働者の健康を破壊し、経験・熟練をつむ機会を与えず、未来の展望や労働意欲も失わせています。経済活動の決定的要素である、人間自身の力の発揮が阻害され、委縮させられているのです。またリストラを応援し社会保障切り捨てなどを進める政治は、GDP(国内総生産)の六割を占める個人消費を痛めつけ、国民経済の立ち直りと活性化を阻んでいます。
こうした弱点は、財界・大企業にも「厳しい矛盾と危機」をもたらすものです。予兆は、すでに多くの大企業の現場で、リストラ競争による「技術力の立ち枯れ」、若者の深刻な就職難などが問題化していることにも現れています。
(清)
〔2003・10・29(水)〕