2003年10月31日(金)「しんぶん赤旗」
今回の総選挙では、自民党や民主党などが改憲を公約にかかげ、憲法を守るか、改悪するかという国の進路にかかわる問題が重大な争点になっています。
「二〇〇五年、憲法改正に大きく踏みだします」と政権公約に明記した自民党は、小泉首相が公示日に「九条が問題だ」とのべ、標的が九条にあることを明確にしました。
「創憲」をかかげる民主党は、菅代表が「憲法調査会で議論を積み上げている」と九条改憲を選択肢とした調査会報告を前面に出しました。
小泉首相の発言は重大です。「自衛隊は戦力でないのか疑問をもつ人が多い。九条の表現でいいのか」とのべ、解釈改憲による軍拡を九条改憲の口実に持ち出しているのです。
戦力不保持を定めた九条に違反して世界第二位の軍事費大国にしてきたのに、そのうえ九条を破壊して何をしようというのか。
武力による威嚇・武力の行使の永久放棄を定めた憲法のもとでも、自衛隊をアメリカの戦争に参戦させ、泥沼のイラクに派兵する準備を進めている政権に、九条改憲を許したらどんなことになるのか。
自民党が期限つきで改憲案をつくると選挙の公約にしたのは、日本の歴史で初めてのことです。
自民党が国民投票法などの改憲手続きを公約にうたい、民主党も憲法調査会報告で改憲の手続きを提案していることをみれば、改憲をめぐる情勢がかつてなく緊迫していることはいささかも軽視できません。
小泉首相は解釈改憲による軍拡の積み重ねを九条改憲の既成事実のようにいいましたが、国民の平和の意思が半世紀をこえて改憲を阻止し九条を守ってきたことは明白です。
圧倒的多数が九条改憲に反対していることは、74%が九条を「変えなくてよい」(「朝日」〇一年五月二日)とする数字にも示されます。
見落とせないのは、憲法九条が国際紛争を武力によるのではなく、平和的に解決するという歴史の発展方向をそって、それを先駆的に推し進めたものであり、その役割と生命力が、今日の情勢の中でますます発揮されていることです。
憲法九条への国民的な支持は、戦争の惨禍と苦難を経験した国民の平和の願いに裏づけられるとともに、戦争への動きを危ぐし平和を求めたものです。
そのことは、国連憲章の定める平和のルールが国際社会でますます重要になり、各国がそれを徹底させた憲法をもつ国として日本への期待を強めていることにも示されます。
九条改憲を許せば、日本が戦争と大軍拡への道を突き進むことは、目に見えています。改憲のくわだてを絶対に許すことはできません。
日本共産党は改憲とりわけ九条改憲に反対です。それは、戦前、侵略戦争反対を貫いて、憲法九条を生み出す力になった党の八十一年の歴史をふまえた不動の信念です。
その立場はいま、日本が改憲策動の根源にあるアメリカいいなりからぬけだして、憲法九条の立場を生かした独立・平和の日本にするほんとうの改革をかかげていることに貫かれています。
この選挙で日本共産党が前進することが、日本を戦争の道にひきこもうとねらう自民党などの時代逆行を許さず、日本を世界の平和に貢献する国にする保障になります。
日本共産党とともに憲法を守りぬこうではありませんか。