2003年11月2日(日)「しんぶん赤旗」
自民・公明の与党連合でも、政権交代を掲げる民主党でも、どちらも総選挙が終われば年金改悪−−選挙の論戦を通じて、こんな危険な構図が浮かび上がってきました。「年金に100年の安心」(公明党)どころの話ではありません。
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選挙後、ただちに待ち受けているのが二〇〇四年「年金改革」案づくりです。来年は、五年に一回の「改革」の年にあたるためです。
小泉首相は、「年内にプランを立て」(十月三十一日)、来年の通常国会に法案を提出すると表明しました。問題はその中身です。
厚生年金の保険料は、小泉首相、公明党とも将来、年収の20%(労使折半)まで引き上げていくことで歩調を合わせました。いまの13・58%から、一・五倍に値上げする計画です。国民年金の保険料も、いまの月一万三千三百円を一万八千円台まで値上げします。これから二十年ほどは毎年、値上げがくり返されることになります。
年金給付について小泉首相は、現役世代の所得の「50%程度」にすると表明しました。いまの六割給付にくらべ、約15%の引き下げとなります。公明党案も同様です。
50%になると、いまのモデル年金(夫婦二人分で月二十三万六千円)で、年間約四十三万円に相当する大幅カットになります。
民主党も十月三十一日に発表した追加のマニフェストで、保険料は「収入の20%以下」、給付水準は「現役世代の50から55%」にすると打ち出しました。負担増・給付減では、自民・公明とまったく同じです。
しかも、将来の社会保障・年金財源として、自民党も民主党も、所得の少ない人ほど負担が重くなる消費税の増税を口にしています。
年金給付は、今年四月から「物価が下がった」という理由でお年寄りの年金が0・9%減らされましたが、来年四月からも同様の減額がねらわれています。公明党は0・4%(約一千六百億円)の削減を認め、財務省は2・1%、八千億円以上の削減を国民に押しつけようとしています。
そのうえ、来年四月から改悪が実施されたらどうなるのか。
財源確保のため〇四年に実施予定だった基礎年金の国庫負担二分の一引き上げは、自民・公明も、民主も先送りの方針。それを前提にした厚労省の検討案では、現行の国庫負担三分の一が続いた場合、厚生年金の保険料は0・384%(労使折半)の引き上げが想定されています。年収五百万円の会社員で、年間九千六百円の負担増です。
日本共産党は、負担増・給付減の大改悪にきっぱり反対。将来に安心がもてる年金制度にするため、(1)基礎年金への国庫負担をただちに2分の1に引き上げる(2)雇用と所得をまもり、年金の安定した支え手を増やす(3)175兆円にものぼる年金積立金を計画的に活用する―という「3つの改革」を提案しています。将来の年金財源は、消費税に頼らず、大企業や高額所得者に応分の負担を求める、税制と社会保障制度の改革を通じて確保します。 |