2003年11月3日(月)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の市田忠義書記局長は二日、NHKの二時間の討論番組、衆院選特集「争点を問う」に出演し、各党の幹事長と討論しました。
このなかで憲法問題がテーマとなり、第九条を改憲の対象とすることについて自民党・安倍晋三幹事長は「当然そうなる」「(集団的)自衛権を明記すべきだという意見が党内では主流」、民主党・岡田克也幹事長も「九条は非常に分かりにくい」「集団的自衛権をどうするのかという議論が(党内では)いろいろある」、公明党・冬柴鉄三幹事長も「(九条を変えないという)硬直的なことはいっていない」とのべました。
市田氏は「大変危険だ。九条は、日本国民とアジアの人々を犠牲にした痛苦の教訓にたって二度と戦争はしないと誓ってつくりあげたものだ」と指摘しました。「集団的自衛権」を認めるべきだという主張について、「集団的自衛権というが、ベトナム戦争もアフガン侵略もそうだった。国連憲章違反の無法な侵略を正当化するために使われている。過去に行使されたのは八回あったが、グレナダ戦争など全部、不当な侵略だ」とのべました。
年金問題で基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げる問題について、自民、民主、公明が先送りの姿勢を示しました。
市田氏は「引き上げは法律で国民に約束したことだ。それが守れないようでは、将来の何年間安心だといっても国民は信用しない。ただちに引き上げるべきだ」とのべました。
また、公明党は引き上げの財源を、定率減税を廃止して中・低所得者では25%もの増税でまかなおうとしていると批判。冬柴氏は「そりゃそうですよ」と認めました。
また、民主党との政権協力について問われた市田氏は「自民党の悪政に反対するために野党間で一致点で共闘してきたが、今日の議論を聞いていても、民主党は大きく変わった感じがする。憲法、消費税問題しかりだ」と指摘。消費税率を引き上げる政党に献金あっせんを再開するという日本経団連に献金を求める姿勢を示していること、衆院比例代表定数を八十削減するという民主主義に反する政権公約を掲げていることをあげて、「今度の選挙戦のなかで争われている問題もよくみながら考えたい」とのべました。
選挙戦の残る一週間何を訴えるかについて市田氏は、「自民か民主かというが、国民の立場に立った第三の流れ、日本共産党があるじゃないかということを大いに訴えていきたい。国民の暮らし優先、憲法をまもり平和の外交を、消費税増税を絶対に許さない、ということを最後まで訴えていきたい」とのべました。
討論のなかで自民党の安倍幹事長は、北朝鮮工作員で日本人拉致実行容疑者の辛光洙(シン・グァンス)の釈放要望書に民主党の菅直人代表と社民党の土井たか子党首が署名していたとし、「結果として菅さんや土井さんが要求した通り、辛光洙というスパイは釈放されて北朝鮮に戻っていった」と述べました。
市田書記局長は、日本共産党の橋本敦参院議員が一九八八年に辛光洙問題を質問し、警察当局が北朝鮮工作員の疑いがあると答弁したことを紹介するとともに、一九八九年におこなわれた辛光洙の釈放要望書には「公明党の六人の国会議員も署名している」と指摘。「こういう場で議論するなら、公平に議論すべきだ。拉致問題を党利党略で扱ってはだめだ。人道、人権の問題だから、そういう立場で扱うべきだ」とのべました。
これにたいして安倍、冬柴両氏は一言ものべませんでした。