2003年11月4日(火)「しんぶん赤旗」
自民党「非常に良い」、民主党「良い」、共産党「非常に悪い」――財界団体の日本経団連(奥田碩会長)が、総選挙での各党の政権公約(マニフェスト)を、財界の立場からこんなふうに評価していることが、三日までに明らかになりました。経団連が政治献金を行う際に政党を評価する基準としてまとめた「優先政策事項」に照らして、各党の公約を“採点”したものです。十月二十七日に開かれた業界団体代表との懇談のなかで、資料として配布されました。
「優先政策事項」は、「経済再生、国際競争力強化に向けた税制改革」「将来不安を払拭(ふっしょく)するための社会保障改革」など経済政策を中心とした十項目。総選挙を前にして、財界の要求を各党公約に反映させようとまとめられました。(九月二十五日発表)
経団連の“採点”は、優先事項の各項目ごとに、五段階で評価しています。〈A・非常に良い、B・良い、C・触れていない、D・悪い(逆行等)、E・非常に悪い(相いれない等)、それぞれに+−(プラス・マイナス)あり〉
たとえば、法人税引き下げと、企業の税負担、社会保障負担の「抑制」をもとめた「税制改革」では、政権公約に「法人課税の抜本見直し」をうたい、財界向けの公約「重点施策」に「法人税引き下げ」を明記した自民党は「B」。政権公約ではふれず、政策集で「法人税改革」に言及した民主党は、若干評価が下がって「B−」。
「消費税率の引き上げ」を求めた「社会保障改革」の項目では、「基礎年金財源に消費税を充てる」ことを、政権公約に明記した民主党は評価をあげて「B」。「消費税率引き上げについても国民的論議を行い、結論を得る」とした自民党は「B+」です。
経団連の政党評価は、「優先政策事項」のほかに、「包括的事項」でも行うとし、野党は「政権交代可能な二大政党制実現への期待」を評価対象にするとしています。
奥田会長は十月三十日の記者会見で、自民、民主両党の公約について「自民党の政権公約の方が日本経団連の主張と合致していると思うが、経済政策に関しては特に大きな差はない」とのべました。“採点”は、これを裏づけています。
ちなみに「A」が最も多いのが、財界べったりの公約をかかげる保守新党。財界主役から国民主役の政治への転換を訴える日本共産党の公約は、「悪い」「非常に悪い」の「D」「E」がズラリ並んでいます。