2003年11月7日(金)「しんぶん赤旗」
年金改悪を「一〇〇年の安心」と大宣伝し、票固めに走る公明党。選挙ビラではマンガ(「日本年金ものがたり」)で負担増・給付減を「安心」に見せようとしています。
「二〇〇四年・年金改革」で、厚生年金の保険料を20%(労使折半、本人負担10%)に引き上げろというのが公明党の選挙公約です。現行の料率は年収の13・58%ですから、一・五倍の負担増です。この負担増をマンガビラは「上限を設定」とごまかしました。
しかし月収三十万円・ボーナス百四十万円で年収五百万円の会社員だと、20%(本人10%)の「上限」保険料は五十万円。二カ月近い給与が消えるのです。
退職後の年金給付も削ります。いま厚生年金は現役の所得の59%が給付されます。これを50%まで下げられる(15%カット)としました。
夫婦二人のうけとる給付額は月二十三万六千円(四十年加入のモデル世帯)です。これが50%給付になると、年間約四十三万円の削減に相当します。六十五歳から夫婦で八十歳まで給付があった場合だと、生涯で約六百万円もの年金を減らされることになります。
これをごまかす口実が“保険料の二倍給付論”。マンガで「もらえる額は払った保険料の二倍以上で現役時代の50%以上を確保」とのべています。
しかし厚生年金制度では保険料は労使折半で、労使合わせると本人負担の二倍の保険料を納めるのですから、二倍以下だと年金の意味がなくなるのです。
マンガでは、「いま年金をもらっている方々の受取り額は下げません」という公明党の言葉に、お年寄りが泣いて喜びます。
しかし、いま受けとっている高齢者の年金も削ろうというのが、小泉内閣の方針です。その第一歩にされているのが物価スライドを口実にした年金カットです。
自民党の大臣でも踏み切れなかった物価下落分の給付カットを、公明党所属の坂口力厚労相のもと、ことし四月から強行しました。カット額は年間三千七百億円(0・9%の物価下落分)。
来年度も坂口厚労相は0・4%(千六百億円)分の削減を認めています。それを「下げない」とごまかし、平然としています。
基礎年金(国民年金)は、給付費用の三分の一が国庫負担で、来年の二分の一引き上げが法律で決まっています。
公明党は、引き上げ時期を五年間先送りしたうえ、引き上げに必要な財源を庶民増税などで確保することをかかげました。二兆七千億円もの増税になります。マンガでも、お年寄りが「増税になるの」と心配します。言い逃れができないので「単純な増税ではない」と苦しいごまかしです。
しかし年収三百二十六万円以上の人はすべて増税。これを日本共産党の市田忠義書記局長がNHKの番組で指摘すると、公明党の冬柴鉄三幹事長は「そら、なるでしょう」と平然と認め、庶民の痛みなど感じていません。
“年金のために消費税を上げるなんてムチャよ”“消費税に頼らない”
マンガは、こうのべて民主党案との違いを宣伝しています。
しかし庶民増税のあとの年金財源として消費税増税を考えているのが公明党です。時事通信のインタビューで神崎武法代表は「将来的には社会保障全体の在り方を考えるなかで消費税引き上げの検討は避けられない」(十月十六日)とのべています。基礎年金の国庫負担引き上げの財源について坂口厚労相も「消費税の引き上げでお願いする案を示し、国民に議論してもらう時期にきている」(昨年十月一日)とのべていました。民主党のマニフェストより一足早く消費税増税を検討していたのです。