2003年11月8日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本では、払った税金から社会保障に回る割合が低いと聞きましたが、どういうことですか。(愛知・一読者)
〈答え〉 いま日本では国民が国と地方に払った税金のうち、社会保障の公費負担として戻ってくる比率は29%しかなく、ドイツの44%やイギリスの43%などと比べかなり見劣りします。日本共産党は、このような税金の使い方、予算の優先順位を転換して、社会保障を充実させる財源を確保するよう主張しています。
ここで使われている数値は、今年二月の第九回社会保障審議会に、政府が提出した資料がもとになっています。一九九五年のアメリカ、九九年の日本、イギリス、ドイツなどの社会保障財源の内訳を、GDP(国内総生産)比で比較したものです。
九九年の数値がそろう、日本と英、独を比べると、社会保障財源に占める公費負担のGDP比は、日本4・8%、英12・9%、独10・0%です。これだけでも違いは明りょうですが、この違いを税金の使い方の面からみるために、国税・地方税総額のGDP比と比較すれば、冒頭の数値となります。九九年度の日本の税収総額は八十四兆円ですから、社会保障向けを英、独なみの40数%にすれば、十兆円を超える財源が新たに社会保障に振り向けられる計算です。
欧州では予算の「主役」の社会保障が日本で切りつめられているのは、大型公共事業優先の政治のためです。九〇年代に年五十兆円に膨張した公共事業をバブル期前の二十五兆円水準まで段階的にもどせば、新たに十兆円程度の財源をつくりだせます。公共事業の中身も巨大開発から福祉・環境型に転換すれば、半分の予算でも雇用などを増やせます。東京都の資料でも、臨海副都心など巨大開発の中小企業受注は一割未満ですが、福祉・住宅・教育関係では受注の八割が中小企業です。
さらに、五兆円もの軍事費を「聖域」にせず大幅軍縮に転換すれば、社会保障財源の充実は十分可能です。(博)
〔2003・11・8(土)〕