日本共産党

2003年11月10日(月)「しんぶん赤旗」

医療・福祉・教育などに株式会社参入へ

規制改革会議


 政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は、十二月の「第三次答申」に向け集中的な議論をすすめています。焦点は、医療、福祉、教育など公的分野への株式会社参入を盛り込むこと。新たなもうけ口を拡大したい財界・大企業の狙いが露骨に反映されようとしています。

大企業にもうけ口開放

来月「第三次答申」へ論議急ぐ

 政府は十一月を「秋の規制改革集中受付期間」にしています。全国規模の「改革要望」と、「構造改革特区」(地域を特定して「規制緩和」する)の提案を同時に受ける力の入れようです。

 六日、総合規制改革会議の専門部門のひとつ「アクションプラン実行ワーキンググループ」が開かれました。テーマは国土交通関係の「公共施設・サービスの民間開放の促進」。対象は道路、河川、空港、港湾、都市公園、下水道です。たとえば下水道では、すでに「規制改革推進三カ年計画」(ことし三月閣議決定)が、設備の維持修繕、料金設定などをまとめて民間委託する方針を決めています。この日の会議では、それをどう具体化するか、国土交通省と意見交換しました。

 「第三次答申」で重点的に盛り込もうとしているのが、「十二の重点検討事項」(別項)です。もともと日本経団連などが強く要求していたものです。

 小泉内閣が「官製市場」とする医療、福祉、教育、農業や、「労働市場」分野に、いかに営利企業を参入させるかが狙いで、大企業に有利な「規制緩和」をはかるものです。

 さらに十月の同改革会議では、冒頭にあげた「公共施設・サービスの民間開放の促進」をはじめ、「労災保険、雇用保険事業の民間開放の促進」「借家制度の抜本的な見直し」など五項目を追加。重点対象を一段と広げました。

 小泉首相の口癖は「民間にできることは民間に」。しかし、医療、福祉、教育などの分野まで、民間のもうけの対象にすることは、国の公的な責任を放棄するものです。

 たとえば、株式会社による病院経営の解禁問題。国民の命や健康に直接かかわる医療は本来、公益性の強いものです。そのため医療法は、病院などの営利目的の禁止(第七条)、医師・歯科医師以外の医療施設開設の規制(第八条)、医療法人の剰余金配当の禁止(第五四条)などを定めているのです。

 一方、株式会社は、利益を最大限にあげ、株主に配当することが目的です。株式会社参入によって、医療がもうけ本位になり、患者が所得によっていっそう差別されることになりかねません。

 日本医師会や全国保険医団体連合会などが参入に強く反対しています。日本医師会は、九月下旬、全国紙に二ページにわたる全面広告を掲載。「病院の株式会社化がもたらす『負』の部分について、もっと議論しませんか」と呼びかけました。


総合規制改革会議が「第三次答申」に盛り込む「重点検討事項」

(1)株式会社などによる病院経営の解禁

(2)「混合診療」(保険診療と保険外診療の併用)の解禁

(3)医師・看護師の労働者派遣の拡大

(4)医薬品のコンビニなどでの販売解禁

(5)幼稚園・保育所の一元化

(6)株式会社などによる学校経営の解禁

(7)大学・学部・学科の設置の自由化

(8)株式会社などによる農地取得の解禁

(9)高層住宅に関する抜本的な容積率緩和

(10)職業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放

(11)株式会社による特養ホーム経営の解禁

(12)株式会社による農業経営の解禁

【追加5項目】

(1)公共施設・サービスの民間開放の促進

(2)労災保険、雇用保険事業の民間開放の促進

(3)国際的な高度人材の移入促進

(4)車検制度などの抜本的見直し

(5)借家制度の抜本見直し


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