2003年11月13日(木)「しんぶん赤旗」
財務省は十一日、二○○四年度予算で、生活保護制度のうち、七十歳以上の高齢者に一律支給する老齢加算と母子家庭に対する母子加算を廃止する方針を固めました。また、生活保護費の物価連動制を今年度に引き続き採り入れます。これらの改悪で二百億―三百億円の歳出を削減するとしています。
同省は十三日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で制度「改正」を求める方針を説明します。
生活保護費(国が四分の三負担)は、不況による生活悪化を反映して一九九四年度から十年連続で増加し、○三年度は一兆四千八百五十億円に上っています。
七十歳単身世帯への給付は、老齢加算(一万七千九百三十円)により月額九万五千百四十円。財務省は「高齢になるほど消費支出は減少するのに合理性を欠く」(主計局)としています。
母子家庭の生活保護給付は、母子加算(児童一人の場合二万三千三百十円)で月額二十二万九百六十七円です。
同省はまた、生活保護給付に当たり、年金同様、物価連動を続ける方針。○三年度予算では○二年分の消費者物価下落率(0・9%減)を適用しており、○四年度予算でも○三年分(政府見通し0・4%減)を反映させる方針です。
全国生活と健康を守る会(全生連)の島田務会長の話 老齢・母子加算の廃止、物価スライドによる生活保護基準の切り下げは、生活保護世帯をいっそう大変な状況に追い込むものであり、絶対に許せません。
そもそもいまの生活保護基準が「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法二五条)を保障する内容かどうかの検証もなく、こうした削減をすることは重大問題です。すでに今年度、物価連動による生活保護給付の引き下げが初めておこなわれました。これは憲法がうたう国の義務を放棄するもので、はなはだしい生存権侵害です。