2003年11月14日(金)「しんぶん赤旗」
【カイロ12日小泉大介】イラク南部ナシリヤで十二日午前に発生したイタリア軍警察本部爆破事件では、兵士や関係者などイタリア人の死者が十八人、イラク人死者九人となり、合わせて少なくとも二十七人が死亡しました。さらに重軽傷者がイタリア人二十人を含む約八十人という大惨事となりました。
イラク占領開始後、同国に駐留するイタリア軍関係者が死亡するのは初めてで、一度にこれだけの兵士に死者がでたのは、第二次世界大戦後のイタリア軍の歴史上でもかつてなかったこととされます。
今回の爆破は、「極めて戦争に近い」(八日、アーミテージ米国務副長官)、「戦闘地域と非戦闘地域を区別することは難しい」(十一日、駐イラク米軍のサンチェス司令官)など、イラク全土が戦闘状態であるとの米軍自身の認識を改めて裏付けました。
目撃者によると、爆発は、軍警察本部玄関にむけ二台の車が、一台は銃撃をおこないながら突っ込み、自爆したものでした。二棟ある建物の一つをほぼ全壊させ、火災が数時間もつづくほど強力で、いまだにがれきの下に死傷者が存在する可能性があるとされます。
この間、米英占領軍にたいする攻撃はもちろんのこと、これに協力する外国軍兵士への攻撃も日増しに強まっていました。八月に南部バスラでデンマーク兵一人が死亡、十月二十九日にはバスラでニュージーランド兵二人が負傷、同日には南部クートでウクライナ兵七人が負傷、十一月二日にはバグダッドでエストニア兵四人が負傷、六日には中部カルバラ近郊でポーランド兵一人が死亡しています。
これら外国兵の死傷は、パトロール中の銃撃・爆弾攻撃によるものがほとんどでした。今回は軍の拠点にたいするもの。占領に協力する外国軍への攻撃拡大で、イラク占領支配は重大局面を迎えました。
イタリア軍は今回標的になった軍警察部隊を含め約二千三百人の兵士をナシリヤを拠点に駐留させ、治安維持活動に加え、給水システムの復旧など社会基盤整備、人道支援活動をおこなっていました。
現在、日本政府はこのイタリア軍と同様の任務を遂行するとして、ナシリヤから西にわずか百キロの南部サマワに自衛隊を派兵しようとしています。