2003年11月15日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン13日浜谷浩司】ブッシュ米政権首脳は十三日、深刻な破たんに直面するイラク戦争・占領政策について、占領終結を拒否しつつ、イラク側により大きな権限を移譲する弥縫(びほう)策を示しました。
同時に米政権は同日、イラク攻撃を指揮した米中央軍のアビザイド司令官がカタールに戻り、司令部を同地に再増強すると発表しました。これは、米軍の戦闘態勢が戦争対応型に復帰したことを意味します。
ブッシュ大統領は記者団の質問に答え、イラク側が「より大きな責任を引き受けるよう促す」と述べました。ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も同日の会見で、「イラク人への権限移譲を加速する方法を見いだすことが重要だ」と発言しました。
方針手直しに関しニューヨーク・タイムズ紙同日付は、米政権当局者の発言として、二〇〇四年前半に選挙を行い権限を暫定政府に移譲し、その後に新憲法を起草するとの計画だと報じました。ライス補佐官も、新憲法制定に要する時間枠は「延長された」と述べ、事実上これを認めました。これは、憲法起草後に選挙を実施するとの米政権の当初の方針を逆転させたものです。
しかし、これが「占領の早期終結」を意味するわけではありません。ラムズフェルド国防長官は十四日、訪日途上に立ち寄ったグアムで、「(イラクから)早期撤退する計画はなく、実際にはまったく逆だ」と発言。憲法制定に約二年かかることが判明したので、その前に一部の権限をイラク側に移譲することにしたと述べました。