日本共産党

2003年11月15日(土)「しんぶん赤旗」

国立病院の「賃金職員」とは?


 〈問い〉 厚生労働省が「雇い止め」しようとしている国立病院の「賃金職員」とは、どのような職員なのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 地域医療を支えている全国の国立病院・療養所には、約五万二千人の正規職員と、約八千人の賃金職員がいます。自民・公明政権のもとで国立病院は来年四月から独立行政法人に移行しますが、六千五百人の賃金職員の雇用継続が大きな焦点になっています。

 賃金職員とは、三交代を含むフルタイムで働くなど、仕事の内容、責任も正規の職員と同じなのに、「定員外」だという理由で一年未満の雇用契約の更新をくり返し、賃金や労働条件も差別されている職員のことです。例えば夏季休暇、結婚休暇、育児休暇、介護休暇などを認められず、正規の定員職員より長時間労働となることも珍しくありません。昇給も十年ぐらいで頭打ちなど、賃金も低く抑えられています。

 この不正常な勤務形態は、国の政策が生み出したものです。歴代の自民党政権のもとで「定員法」による国家公務員の定数制限が国立病院にも一方的に適用され、看護師などの定員がまともな医療もできないほど過少に定められました。その不足を補うため、定員の二割にも相当する職員を賃金職員として採用することになったのです。賃金職員の雇用契約も、閣議決定で一年未満に制限されました。

 国は長年の不当な差別待遇に責任があります。しかし、昨年成立した国立病院の独立行政法人化法は、定員職員は新法人移行後も雇用を継続すると明記したのに、賃金職員の雇用は規定しませんでした。雇用を引き継がせることは国の最低限の責務ですが、坂口力厚労大臣は「他に職をもとめていただく方もございましょう」(十月九日、参院)などと無責任な姿勢です。十一月十日、厚労省は、全日本国立医療労働組合との協議もないまま、独立行政法人への移行にあたり賃金職員を雇い止めにすると発表し、一方的に通告しています。

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 〔2003・11・15(土)〕


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