2003年11月16日(日)「しんぶん赤旗」
【パリ14日浅田信幸、西尾正哉】当地で開催中の第二回欧州社会フォーラムには、イラク戦争・占領に反対してきた欧州各国の運動組織が総結集。数十会場での討論会や分科会で、戦争と軍事占領をやめさせるための運動方向を活発に討論しています。同フォーラムは、反戦平和、社会的権利の擁護など、欧州のあるべき姿を討論するため六十カ国から六万人を集めて開かれています。
「世界的規模で常時の戦争反対」とのテーマで十三日開かれた主要討論会には千人以上が参加。英国の「戦争ストップ連合」のリンゼー・ジャーマンさんが、「米英による植民地的なイラク支配を即刻、終わりにすべきだ」「これを止められるのは世界の人々の力だけだ」とのべ、来週のブッシュ米大統領訪英に抗議して十万人規模のデモを準備していると報告しました。
仏「反戦行動」のアシュカルさんは、「戦争は支配のための資本主義的な利益を追求するシステムだ。これに反対するには、人間を大事にする人民の価値観を対置する必要がある」と発言。ギリシャの「戦争ストップ連合」代表は「イラク戦争に反対するデモが軍政の終結した一九七四年以来、最大のものになった」ことを紹介。ポーランドの「戦争反対イニシアチブ」代表も、イラクでポーランド兵に犠牲者が出て、60%だった反対世論が81%へと上昇したことを明らかにしました。
「平和の欧州」の分科会では、イタリアの平和団体「平和のテーブル」の代表が、現在議論されている欧州憲法に「戦争放棄」条項を盛り込ませる運動を広げようと訴えました。同代表は、国連憲章は世界の反戦運動が依拠する文章であると指摘し、「平和は欧州連合の基本的価値である」と明記させようと呼びかけました。
参加者からは、EU憲法でNATO(北大西洋条約機構)に言及している条項の削除を迫るべきだという提案や反戦平和勢力の共同を訴える発言が相次ぎました。