2003年11月16日(日)「しんぶん赤旗」
|
|
連日、外国軍が攻撃受け |
米軍が全土を戦争態勢に |
|
イラクでは戦争が終わったといわれていたのに、連日のように攻撃が続いているけど、どうなってるの?
|
米軍ヘリが相次いで撃墜され、米軍の車列が攻撃されたり、米兵が連日殺されている。これに対して米軍は掃討作戦を行っている。ブッシュ大統領は十四日、軍事作戦を変更し、地上にくわえて空からの攻撃を強めることを宣言した。十三日には、カタールに開戦前に設置した米中央軍の前線司令部を再び大幅に増強すると発表している。イラク全土で戦争態勢への逆戻りだ。
作戦名は「鉄のハンマー」だという。北部ティクリットや首都西方五十キロのファルジャなどで七日に空爆を始め、十二日には首都バグダッドも空爆した。地上にも、最新装備の装甲車部隊を投入し、殴り込み攻撃部隊の海兵隊も再度投入する。
イラクに派遣されている米英軍以外の部隊も攻撃にさらされている。八月にはデンマーク軍兵士が死亡し、今月六日にはポーランド人兵士がはじめて犠牲になった。二日にはエストニア軍兵士が手投げ弾で負傷している。
自衛隊が駐留する予定といわれるイラク南部のサマワの東約百キロのナシリヤでは、イタリア軍警察本部が爆弾攻撃を受け、イタリア人十八人など二十七人が死亡した。
米英軍の無法な占領が |
イラク人の怒り憎しみ呼ぶ |
|
なぜこんなに泥沼化してしまったの?
|
米英占領軍が連日のように攻撃を受け泥沼化が進むのは、イラク戦争そのものが違法な先制攻撃戦争であり、その後も無法な占領を続けているからだ。
米英両国は世界中に広がった反戦世論を無視して、国連安保理決議もないままイラク戦争を強行した。両国はそのままイラクに居座り続けている。
駐留米軍は、フセイン元大統領やテロリストを捜索するといって、住宅を急襲したり、一般民間人を拘束、殺害するなどしている。捜索犬を家屋内に連れこむなど、イスラム教徒の感情を逆なでするようなことも日常茶飯事だよ。米軍の撤退を求める市民のデモ行進に発砲したこともある。
米英軍による占領と野蛮な行為がイラク国民の怒りと憎しみを呼び、武装勢力から攻撃を受ける原因をつくり出しているんだ。
もちろん、復興を援助している国連事務所や赤十字国際委員会へのテロ攻撃は許されない。けれども、国連のアナン事務総長も「占領が続く限り、抵抗は拡大する」と襲撃の原因が占領にあることを指摘しているんだ。
ブッシュ大統領は、イラク人の大部分が米軍を支持している、攻撃はすべて“テロリストの仕業”だ、といっているが、そんなものではない。旧フセイン政権残党もいるだろうが、イラク市民のほとんどが占領に反対し、その抵抗が広がっている。占領政策そのものが破たんしているのだ。
日本政府の「復興支援」 |
米の占領支配助けるだけ |
|
そういうイラクに自衛隊を派遣するといっているけど。
|
政府、自民党や公明党は国連安保理決議一五一一で自衛隊の派遣が求められていると主張し、イラクの人たちへの人道支援のためで、非戦闘地域に派遣するなどといっている。
確かに、十月十六日に採択された決議一五一一は「多国籍軍への支援を国連加盟国に求める」としている。この点では、米英軍主導のイラク占領の枠組みを認めるという問題を残している。いま起きている事態は、この不法なイラク占領自体が大きな抵抗にぶつかっていることをますます明白にしている。
決議採択にあたっても、フランスやドイツ、ロシアは共同声明を発表し、国連中心のイラク復興に向けた「改善」はあるものの、国連の中心的役割とイラク人への主権の早期移譲が盛り込まれていないと指摘していた。決議採択後、これら三国をはじめ新たに軍を派遣した国は一国もない。
それどころか、十月七日に派兵を決めていたトルコは十一月七日、この決定を撤回した。多国籍軍さえつくられていない。
「戦闘地域には送らない」という言い分はもうまったく通用しない。全土が戦場になっているからだ。政府は復興支援をどういう枠組みでおこなうべきかについて何らの道理ある立場も示していない。ただ米国の要求に従い、占領支配を支援しようとしているだけだ。イラクの復興支援は米英の占領をやめさせ、イラクへの主権回復と国連中心でおこなわれるべきだ。