2003年11月16日(日)「しんぶん赤旗」
【ベルリン14日片岡正明】核戦争防止国際医師会議(IPPNW)英国支部(MEDACT)はこのほど、米軍のイラク侵攻開始から十月までに戦争で死亡したイラク人が二万人以上にのぼるとする報告書「引き続く副次的被害−イラク戦争の健康と環境への負荷」を公表しました。
報告書は、戦争開始の三月二十日から十月二十日までの七カ月間のイラクでの戦争による死者数を二万一千七百人から五万五千人と推定。このうちイラクの民間人の死亡は七千八百人から九千六百人。米英軍側の死者数は三百九十四人、イラク人兵士の死者数は一万三千五百人から四万五千人としています。
MEDACTは戦争開始前の昨年十一月、戦争になった場合の深刻な被害を予告し警告した「副次的被害」を発表しており、今回の報告書はその続編。
報告は、英、米の公式資料から今回の戦争で使われたクラスター爆弾を米軍千五百発、英軍六十六発とし、不発のまま残された子爆弾について「ある都市だけで一日に二十件の事故が続いた」などの実態を告発しています。また、専門家の推定として、イラク戦争で使用された劣化ウラン弾を千百トンから二千二百トンとみており、一九九一年の湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾の総量三百五十トンをはるかに上回る量だと指摘し、放射能汚染による被害拡大に憂慮しています。