日本共産党

2003年11月17日(月)「しんぶん赤旗」

減らない保育所待機児

施設不足、都市パートを直撃

働きたいのに預けられない


 保育所に入れない待機児童が増え続け、保育所不足の都市部でパート労働者へのしわよせが深刻です。「働きたいのに、子どもを保育所に預けられない」という声があがっています。

 自民・公明の両党は総選挙の「政権公約」や選挙後のテレビ討論などで、小泉内閣の“待機児童ゼロ作戦”の成果をアピールしてきました。しかし、厚生労働省の調査で、ことし四月時点の待機児童数は過去最多の二万六千人です。保育所に入れた子どもは百九十二万人で前年度より四万一千人増えたものの、待機児童は逆に増えています。

 急増する入所希望に、保育所の整備が追いついていないのです。

収入は保育料に

 「子どもが生まれたら、保育所に預けてパートで働こうと思っていました。将来を考えると経済的に不安なので、収入を増やしたい。でも肝心の保育所は、申し込んでも全然入れないんです」。東京都江東区在住の母親は、一歳七カ月の娘を抱きながらいいます。

 金融機関にパートで就職できたものの、第一希望だった認可保育所はすでに満員で入れる余地などありませんでした。しかたなくいまは無認可保育室を利用していますが、保育料が高く、パート収入は全部なくなってしまいます。「働いたほうが支出が増えるなんて、“何のために働くんだろう?”って感じです。来年四月には認可保育所に入れるといいのですが…」と不安げです。

 同じ無認可保育室を利用している別の母親の場合も同様です。「景気が悪く、夫の給料だけでは生活が成り立ちません。私も仕事はパートですが、役所の窓口では、待機児が多いから、パート勤務ぐらいでは希望の保育所に入れなくて当たり前のようにいわれました。“保育所を必要としている人”を国はどう見ているのでしょう」といいます。

定義を変えて

 自民・公明政権が成果をあげているという“待機児童ゼロ作戦”は、こうした実態に目をつぶっています。

 小泉内閣になって政府は、“待機児童”の定義を改悪し、やむなく無認可保育室を利用して、負担の軽い第一希望の保育所の空きを待っているケースは待機児童から除外するようにしたのです。

 選挙でかかげた、待機児童ゼロにむけた具体策も、無認可保育室や保育ママ、幼稚園の預かり保育などの活用です。必要な認可保育所をきちんと整備して、父母の負担をできるだけ軽くすることには背を向けています。

 保育所はほんらい、親の就労と所得を保障し、乳幼児の健康な成長と母親の社会参加をはかるための児童福祉施設です。政府には、希望者が全員入所できるだけ保育所をつくる責任があります。


■日本共産党の提案

 保育所の整備は、一九九〇年代以降に大銀行・ゼネコン最優先、社会保障切り捨ての政治のもとで極端に抑えられてきました。

 日本共産党はこうした政治を改め、公共事業等予備費を削って保育所の新増設に振り向け、約三万人の待機児童をただちに解消することを提案。国の責任で入所希望調査をおこない、産休・育休明けなどの年度途中の入所と、待機児童の七割を占めるゼロ―二歳児の受け入れ枠の拡大を盛り込んだ「保育所整備計画」をつくるよう求めています。


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