日本共産党

2003年11月18日(火)「しんぶん赤旗」

厚労省が年金大改悪案

保険料 年収の20%まで引上げ

給付 賃金の59%が50%にも


 厚生労働省は十七日、二〇〇四年「年金改革」に関する同省案を発表しました。厚生年金の保険料(現在は年収の13・58%、労使折半)を来年から毎年0・354%ずつ引き上げ、二〇二二年度に年収の20%まで値上げして「固定」します。一方、厚生年金の給付は、現在、現役世代の手取り賃金の59・4%から、50%を「下限」とする削減案を盛り込みました。

国庫負担引上げ 実施時期明示せず

 厚労省は同日、与党の年金制度改革協議会にこの案を提示しました。政府・与党は年内に政府案を確定し、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。

 国民年金は、いま月一万三千三百円の保険料を〇五年度から毎年六百円ずつ引き上げ、二〇一一年度には月一万七千三百円に値上げするとしました。

 基礎年金の国庫負担(現在は三分の一)の二分の一への引き上げについては、「将来に向けた道筋を明らかに(する)」とのべるだけで、具体的な実施時期は明示しませんでした。

 約百四十七兆円にのぼる年金積立金は、一年分の給付費(現在は約五年分)を残し、九十五年かけて取り崩すことを打ち出しました。

 この場合、厚生年金の給付水準は、夫婦二人分のモデル年金(四十年加入の夫と専業主婦)で、現在の59%から二〇一三年度に54・7%まで下がると試算しています。予想より少子化が進み、経済が悪化した場合は、50・8%まで下がることになります。

 サラリーマン世帯の専業主婦など「第三号被保険者」については、老後の厚生年金を夫婦間で分割する制度を導入。パート労働者の厚生年金への加入は、経過措置を設けたうえで「週の労働時間が二十時間以上」(現在は労働時間が正社員の四分の三以上)への適用を原則としました。

 今後、厚労省案を軸に政府案が検討されますが、財務省や財界などは“経済活動の障害になる”として、保険料を20%にする案に反対。15%程度にするため厚労省以上の大幅な給付削減を主張しており、政府案の確定にむけた議論の焦点となります。


厚労省案のポイント

 一、基礎年金の国庫負担は二分の一に引き上げる。時期は先送り

 一、厚生年金の保険料は、二○○四年度から段階的に引き上げ、年収の20%で固定

 一、給付水準は夫婦モデル世帯で現役世代の所得の50%から50%台半ばまで下げる

 一、年金積立金は九十五年かけて取り崩し、給付に充当

 一、サラリーマンと専業主婦の世帯は厚生年金を分割。離婚時も分割可能に

 一、パート労働者は週二十時間以上の労働で、厚生年金に加入、新たに保険料徴収

 一、七十歳以上でも、在職中は保険料を負担、収入が一定額超えれば年金を減額

 一、六十五歳以上の会社員は、受給開始年齢を選択可能に


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