2003年11月18日(火)「しんぶん赤旗」
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「お父さん、戦争に行くの?」と聞く幼児。夫のイラク派遣を聞いて食べ物を吐き、数キロもやせた妻。泣きながら息子の胴巻きにお守りを縫い付ける母…。自衛隊のイラク派遣第一陣となる陸上自衛隊第二師団(司令部・北海道旭川市)では、派遣隊員の周辺に胸を刺すような不安、アメリカいいなりで派兵強行する小泉内閣に強い怒りが広がっています。(渡辺浩己記者)
日中でも気温が零度近くの旭川市。有事立法反対旭川連絡会の自衛隊イラク派兵反対署名に市民が次々と足を止めました。
「同じ旭川に住んでいる人がなくなるかもしれない。それだけでいやじゃないですか」と語る六十歳の女性。二十四歳のフリーターの男性は「日本はアメリカの手下みたい。こんな国では困る」と署名しました。初めて署名するという二人連れの女子中学生も。
とりわけ自衛隊員の家族は苦しんでいます。
娘の夫が自衛隊員という六十代の女性に聞きました。
「半年くらい前から急に家に帰らなくなった。演習が続き、やっと帰ってきたらイラクに行くという。驚きと恐怖ですよ。娘はその直後に寝込んだんです。吐いて吐いて数キロもやせ、顔も真っ白になりました。でも、娘には具体的な話は何もいわない。いい夫なんだけど『上の命令には逆らえない』という。それ以上私も何もいえない。どうすればいいのか。本当に苦しい」
そして、こう続けました。
「戦場に送るために子どもを育てたんじゃない。娘の夫も苦しんでいると思う。私は小泉さんにいいたい。あなたは人の苦しみがわかりますか。それでも行けというなら、あなたの息子を出してください。そして法案に賛成した議員にも真っ先に行ってもらいたい」
今回はたまたま選抜からもれた三十代の自衛隊員の妻は三人の幼い子どもを抱えています。
「派遣隊員を選抜する面接の前後は家の中はなんともいえない雰囲気でした。物心ついたばかりの長男は『お父さん、戦争に行くの』と聞きました。夫は命令されたら行くというけど、家族はわりきれない。国民や国を守るためじゃないでしょう。アメリカにいわれるままに自衛隊を出す。憲法や反対の声は無視されているじゃないですか。毎日のニュースを見ていると、なんのために日本の自衛隊が行くのか疑問はふくらむばかりです」