日本共産党

2003年11月19日(水)「しんぶん赤旗」

シリーズ どうなる年金

働き盛り世代の給付

改悪2回で700万円減る

“予想以上”“通したら大変”


 自民・公明政府の年金改悪が具体的に姿を見せてきました。十七日発表された厚生労働省の改悪案では、働き盛り世代が生涯で受け取る年金総額が約二百万円規模で減らされます。二〇〇〇年に実施された改悪とあわせれば、七百万円以上の減額です。暮らしはどうなるのか。東京・墨田区の医療機器メーカーの労組役員の人たちの影響を見てみました。

 厚生労働省の試算によると改悪案では平均的な人(働いていた期間の年収平均が五百七十二万円)で、一九五五年生まれの場合、二百万円程度減ります。

 給付水準の削減や、賃金の伸びに応じた引き上げ分凍結などをおこなった二〇〇〇年の前回改悪。これで、五五年生まれで五百万円以上、七五年生まれの人で一千百万円以上も受け取る年金が減っています。

 わずか数年間の改悪で、五五年生まれは七百万円、七五年生まれは千二百万円以上も減らされてしまうことになります。

 「思っている以上に減らされる額がすごい」。全労連全国一般吉田製作所労組委員長の小林正春さん(52)は、驚きを隠せません。小林さんの場合、削減額は合計七百万円程度になりそう。六十五歳から平均余命までとして計算すると、月平均は二万五千円にあたります。

 同労組OBの受給額調査をもとにみると小林さんの場合、企業年金もいれ、妻の年金とも合わせて月三十一万円くらいと予想されました。受け取り額が月平均二万五千円も減ることになれば−。

 「いま住んでる都の公社住宅の家賃月十三万円はとても払えない。家賃の安い田舎に引っ込んだら、働く場所がないし」と思案顔です。

 ぜんそくの持病のある小林さん。今年四月の健保三割負担で月九千円も医療費がかかるようになりました。「七十歳まで三割負担。老人医療になっても一割でしょ。国保料だって払わなきゃなんない。ホントにとんでもないよ」

 同労組書記長の斎藤秀男さん(48)も七百万円以上の減額になります。

 会社は退職金を年々削減、廃止の可能性もあります。斎藤さんは住宅ローンを月十数万円支払っています。しかし、小学生の子ども二人が進学し、教育費がかさむようになれば、月々の支払額を減らして返済期間を延ばさざるを得なくなります。すると老後にローンが残る可能性が。「ローンが払えるか。不安になってきましたよ」と渋い顔です。

 執行委員の鈴木正之さん(42)。生涯受け取る年金は一千万円以上減ります。中学生と小学生の子どもが二人。妻はパート。「貯金は月一、二万円するのが精いっぱい。ボーナスも生活費に消え、老後に蓄える余裕なんてまったくありません」。ため息が漏れます。

 給付削減の一方、保険料は、来年十月から二〇二二年まで毎年0・354%(労使折半)引き上げられ、その負担額は平均的な労働者(月収三十六・七万円)で十九年にわたって毎年約一万円ずつ値上げされます。一九六五年生まれの人の場合、六十五歳になるまでで総額で三百万円以上の負担増になります。

 「こんな年金改悪案を通したら大変だ」と小林委員長。同労組では十七日の執行委員会で「過去最大規模で改悪反対署名を集めよう」と決め、さっそく取り組みを始めています。


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