2003年11月19日(水)「しんぶん赤旗」
【ロンドン17日西尾正哉】米国のブッシュ大統領は十八日夜から英国を訪問します。同大統領の訪英に対して、平和団体がイラク戦争への抗議と占領の即時終結を求めて大デモを予定しており、十七日夜にも女性がバッキンガム宮殿の門によじ登って抗議するなど、首都は緊迫に包まれています。
英政府は総額五百万ポンド(九億二千五百万円)に及ぶ前例のない厳戒体制を敷き、ロンドンでは一万四千人の警官が警備、ブッシュ大統領夫妻が宿泊するバッキンガム宮殿周辺には狙撃手が配備され、上空は英空軍が緊急出動できる態勢を維持、また民間機の上空飛行も禁じています。
イラク戦争に反対して全国規模の集会・デモを組織してきた「戦争ストップ連合」は、ブッシュ大統領がブレア首相と会談する二十日に全国規模のデモをロンドンで敢行します。国外からの参加者も見込まれ、十万人規模になるとの予想もあります。反戦団体は十七日、首都圏警察との協議で、首脳会談が行われる英首相官邸などが集まっているホワイトホール通りの通過許可を得ました。
ブレア首相は十七日、「テロを打ち破るたたかいで米国の側にしっかり立つために、いまが適切なときだ」と米大統領訪英のタイミングを擁護しました。
しかし、英国のメディアは、“どうしてこの時期に訪英する必要があるのか”と批判しています。
ガーディアン紙は、「訪英が計画された数カ月前には、相対的な情勢の安定や大量破壊兵器の発見などが予想され、『勝利の訪問』になると期待された。しかし、現在のイラクの混乱や犠牲者数については予期されなかった」と指摘しています。
またフィナンシャル・タイムズ十七日付も、この訪問で「ブレア首相がどんな利益を得るか見当がつかない。ブッシュ大統領との会談では、ブレア首相はイラク問題での支持の見かえりも期待できない」と論評しています。