2003年11月22日(土)「しんぶん赤旗」
政府は二十一日、「国民保護法制整備本部」(本部長・福田康夫官房長官)の会合を開き、米国が海外で起こす戦争に日本を総動員する有事法制の発動に際し、国民を統制するための「国民保護法制」の「要旨」を決定しました。
政府は、来年一月または二月に同法制を閣議決定する方針です。
同会合で井上喜一有事法制担当相は、米軍支援法制や交通・通信に関する法制などと併せ、通常国会に一括して提出することを表明。「国民保護法制」などは昨年六月に成立した武力攻撃事態法に実効性を持たせる法制で、有事法制の具体化を一気に進める構えです。
「要旨」は、政府が「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」を認定した際、警報の発令や住民の避難、誘導などの手続きについて規定。国民統制のための罰則規定を十項目にわたって列挙しました。
「物資の保管命令に従わなかった者」「通行の禁止又は制限に従わなかった者」「土地・家屋の使用又は物資の収用に関し、立入検査を拒んだ者」などは刑罰を科せられるとしています。
罰則の対象については、四月に公表した同法制の「概要」の三項目から、大きく拡大しています。
動員対象となる民間機関(指定公共機関)も明記し、電気・ガス・運送の事業者や道路・港湾・空港の管理者に加え、指定に反対していた放送機関なども含まれています。
「要旨」は、「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」とは異なる「大規模テロ等」の発生の場合も、同法制を準用することを検討課題としています。