日本共産党

2003年11月22日(土)「しんぶん赤旗」

無法な戦争がテロを助長

武力でなく法と理性で


 トルコのイスタンブールで十五日に続き二十日起きた自爆テロは死者二十七人を含む多大な犠牲を出しました。二十一日にはイラクの首都バグダッドで外国人や報道関係者が宿泊するホテルを狙ったロケット弾攻撃が起きました。一般市民を標的にしたテロはどんな理由であれ許せません。米英両国によるイラク戦争・占領が破たんしているなかで起きたテロは米英に「反テロ戦争」正当化の口実を与えるものです。しかし、こうしたテロを助長したのが、国際法に違反した米国によるアフガニスタン戦争に続くイラク戦争であり、その継続の“決意”を示した米英首脳の姿勢は、テロリストにテロの口実を与え、世界をいっそう不安と不安定に陥れるものです。(伴安弘記者)

テロは許されぬ

 二〇〇一年九月の対米同時テロ直後の九月十七日、日本共産党の不破哲三議長と志位和夫委員長は連名で各国首脳あてた書簡を発表し、「テロ行為はいかなる宗教的信条や政治的見解によっても正当化でき」ないものであると糾弾し、「テロ根絶のためには軍事力による報復ではなく、法と理性にもとづいた解決が必要である」との立場を明らかにしました。

 今回のイスタンブールでのテロに対し、世界の多くの人が糾弾の声をあげています。テロは人々が平和に生きる権利を奪う凶悪な犯罪です。しかもイラク戦争・占領の破たんがますます明白になるなかでのテロは、米英の占領を批判する世界の世論と運動に水をかけるものです。

 ブッシュ米大統領は二十日の共同記者会見で「世界的なテロを打破するためにも極めて重要だ」と述べ、今回のテロを口実にイラク戦争を継続する姿勢を明らかにしました。ブレア英首相も「イラクが主戦場だ」と強調しました。

 この弁明はイラク戦争を「反テロ戦争」とする米英の立場が今日の混迷をもたらしたことも隠ぺいしています。米英が最初にイラク戦争を正当化するため挙げた「アルカイダとフセイン政権の結び付き」は、立証ができないものでした。同政権の大量破壊兵器保有・開発疑惑も、今日に至るも立証できないでいます。

占領に強い抵抗

 国連憲章に違反する先制攻撃という不法な戦争でイラク人の死者が軍民あわせて二万人以上に上り、日々イラク人が苦しみ、米英の占領に対する抵抗が強まっているのがイラクの現実です。外国のテロリストがこうした状況に付け込んで暗躍する事態がみられるようになったのも米英の不法な戦争・継続が背景にあります。

 不破、志位両氏の書簡は、軍事力による報復は「いっそうのテロと武力報復の悪循環をもたらし、無数の新たな犠牲者を生み、事態を泥沼に導く危険があ」ると指摘しました。今日の事態はまさにこの指摘通りになっていると危ぐされます。

 今回のテロはイラク戦争継続・推進をうたう米英首脳会談を前に、この戦争で米国の最大の同盟国、英国の海外権益を標的にしたものであるとみられています。

 エジプトの中東問題研究所アルアハラム政治戦略研究所のイスラム過激派問題の専門家は、米同時テロ以降、イラク戦争を経て、「アルカイダというより、その思想を持った各地の過激派が勢いづいたり、新たに思想を持つようになった」と、イスラム過激派の勢力が拡大しているとの見方を示しています(時事通信)。

 ギリシャのシミティス首相は今回のテロについて「盲目の政治は暴力をつくりだす」とのべ、米英のイラク戦争こそがテロを引き起こしていると示唆しました。レバノンのサマハ情報相もこのテロを糾弾すると同時に、「正義なくしてテロの根源と原因を取り除くことはできない」と強調しました。

国連の枠組みに

 テロを根絶するためには、国連が中心になり、国連憲章と国際法に基づいてテロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法にてらして厳正に処罰することが必要です。法と理性に立ったこの立場こそが今強く求められているといえます。イラクでは、再建の過程を米軍占領でなく、国連の枠組みに移し、イラク国民に主権を移譲することがテロ勢力を孤立させ、テロをなくしていくためになによりも必要です。


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