日本共産党

2003年11月26日(水)「しんぶん赤旗」

衆院予算委 各党の質疑から


 総選挙後はじめての国会質疑となった二十五日の衆院予算委員会。民主党の菅直人代表は「二大政党が定着するかどうか、民主党の活動にかかっている」などとのべましたが、実際の論戦はどうだったのか。イラク問題、北朝鮮問題、年金問題などでみました。

イラク

首相、派兵に固執

派遣無理と断定できぬ

 菅氏は「(イラク戦争支持という)誤った判断にもとづいてアメリカと約束し、自らのメンツ、大義名分のない形で、自衛隊を派遣しようとして、うろたえている」と首相の“対米追従”を批判。「今年中の派遣は無理だとはっきりいえばいい」とのべました。小泉首相は「現在においても、自衛隊の派遣は無理だと断定できる状況にない。できる限り人的貢献もしたい」とのべ、派兵に固執する姿勢を示しました。

 また、菅氏が「(自衛隊の派兵地域とされる)サマワは非戦闘地域になるのか」と質問したのに対し、小泉首相は「どこが非戦闘地域かは調査団の報告をよく見極めて最終判断したい」とのべるにとどまりました。

 一方、小泉首相は、民主党が日米同盟基軸を唱えていることをとらえて、「ブッシュ政権は、大義と善意をもってイラク復興を支援している。それが世界に理解されていない。ブッシュ政権は危険な政権といって、菅さんが政権をとったとき、日本の国益はどうなるのか」などと声をはりあげました。

 菅氏は「アメリカのいまの政権がやっていることに盲目的にしたがうことが日米同盟か」と反論。小泉首相は「対米協力も必要だ。ポーランド、韓国、モンゴルも軍隊を(イラクへ)派遣している」とのべました。

北朝鮮

経済制裁の発動を

自民と民主両党が主張

 北朝鮮問題では、拉致事件の解決促進を理由に、同国への経済制裁を求める主張が、自民、民主両党から出されました。

 自民党の安倍晋三幹事長は、北朝鮮が拉致問題で「もし状況を悪化させたとき、わが国独自の経済制裁を発動できるようにしておくべきではないか」と発言。経済制裁を発動する議員立法が自民党内の手続きを終えていることを紹介し、「通常国会で成立を図りたい」とのべ、経済制裁に強い意欲を示しました。

 一方、民主党の菅代表は「経済制裁の一環として送金が停止できる体制をつくるべきだ」と提起しました。

 首相は安倍氏に対し、「現時点では政府として考えていないが、状況がさらに悪化する事態になれば検討しなければならない」と答弁。自民党内の議員立法について「いろいろな選択肢を持つことはいいことだ」と評価しました。

年金財源

消費税でと民主

公明は、所得税減税廃止

 年金「改革」問題では、民主党の岡田克也幹事長が「(政府の)スピードが遅い。選挙の前にもっと具体案が出て議論すべきが、選挙が終わるまで自民党は案がなかった」と批判。小泉首相は、「(年末に)法案ができればより深く議論ができる。決して逃げているわけではない」と答えました。

 また、公明党の冬柴鉄三幹事長が「(給付水準は)現役世代の平均手取りの額の半分は保障するべきだ」と述べ、給付減・負担増の厚労省案を「支持する。公明党もそのような考えだ」と表明。

 岡田氏も厚労省案の給付と保険料水準を前提に「全額税方式を導入すると、給付の水準は下げずに負担は20%を下げることができる。税方式にしたら、解決する」と主張。基礎年金部分を消費税で賄う全額税方式にすべきだと求めました。

 国庫負担二分の一への引き上げの財源では冬柴氏が所得税の定率減税廃止、年金課税を主張。岡田氏は「私は年金課税は賛成だが、所得税の定率減税をやめることは、経済に及ぼす影響も大きい」と反対しました。

 小泉首相は、二分の一引き上げについて「安定した財源の確保のためには柔軟に考える」とあいまいな態度に終始しました。

選挙制度

比例80削減を約束

民主幹事長が首相に迫る

 「一票の格差」問題に関連して、小泉首相は、「選挙制度の改正については、各党いろいろな意見がある。現行制度のまま改正しようという意見と、中選挙区制に戻した方がいいという政党もある」とのべ、「比例代表でも、小選挙区制でも定数削減した方がいいという議論もある」とのべました。

 これに対し、民主党の岡田克也幹事長は「比例(定数)八十削減は、われわれはマニフェストで約束した」とのべ、十月一日の衆院予算委員会で首相も賛成したはずだと指摘。定数三で全国百五十選挙区の「中選挙区制」を主張している公明党を念頭に、「(首相は)いまの制度を前提に比例を減らすという考え方から、制度そのものの全体を論じないといけないと、ずいぶん公明党の主張に寄られたという感じがする」などとのべました。


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