日本共産党

2003年11月26日(水)「しんぶん赤旗」

日本の賃金は「トップレベル」か?


 〈問い〉 財界は「日本の賃金はトップレベル」だといってるそうですが、ほんとうはどうなのですか。  (東京・一読者)

 〈答え〉 日本経団連は昨年十二月に発表した「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)二〇〇三年版で、「わが国の賃金水準は依然、先進諸国のなかでもトップレベルにある」とし、「ベースアップは論外」「定期昇給の凍結・見直しも」と主張しています。製造業の比較で、日本の時間あたり賃金額などを一〇〇とすると、アメリカは九三、イギリスは八五、ドイツは七六、フランスは六二となると推計しています。

 しかし、ドイツやフランスの賃金が日本の六、七割しかないという、あまりに常識外の推計には、連合の金属労協(IMF−JC)からも公開質問状が出されました。経団連の推計にたいして、“米・独の計算には有給休暇の日数も含めて「時間あたり」賃金を出しているのに、日本の計算には有休日数を含まないなど、はじめから日本の賃金が高めに出るようになっている”と批判、有休日数を含まない「実労働時間あたり人件費」で比較すれば、日本の一〇〇にたいしドイツは一二五・三などとなり、日本は先進国の中位にすぎない−と推計しています。

 このように、“日本は高賃金だ”との財界の宣伝は根拠薄弱です。賃金を払わないサービス残業なども考慮すれば、日本の賃金水準はさらに低下します。

 しかもこれらの比較は為替レートによるため、円高の日本の賃金水準は実態より高く評価されます。賃金は何よりも労働者の生計費ですから、為替レートでなく、「そのお金で、国内でどれだけのものを買えるか」を示す「購買力平価」の方が実態を正確に表します。厚生労働省調査をもとにした日本労働研究機構の「データブック国際労働比較」二〇〇三年版によっても、購買力平価でみた日本の時間あたり賃金を一〇〇とすると、ドイツ一七五、アメリカ一四三、フランス一三四となり、日本の低賃金は明らかです。

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 〔2003・11・26(水)〕


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