2003年11月27日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン25日浜谷浩司】地球規模での米軍再編についてのブッシュ米大統領の二十五日の声明について、ラムズフェルド国防長官は同日会見をおこない、「ここ数年、世界での米軍の態勢について検討し、考え方を練り上げてきたが、同盟諸国などとの協議に入る段階に入った」と説明しました。同長官はさらに、同盟国などとの協議には「数カ月」かかり、決定を具体化するには「数年」かかるとの見通しを示しました。
このあと国防総省と国務省の高官が、国防総省で記者会見を行って背景を説明しました。国防総省高官は、見直しにあたっての基本的な考え方として、(1)不確実な事態に対処する柔軟性をもつ(2)同盟諸国自身の役割を拡大し、新たなパートナーシップを構築する(3)(アジアや欧州などの)地域的問題と世界的問題との結合、を強調しました。
また国務省高官は、協議の内容に、米軍駐留にかかわる主権問題、攻撃作戦実施の際の関係国の領空の通過、ホスト国としての支援などの「きわめて重要な問題」が含まれると指摘。対外政策や国家安全保障にかかわる米政府の全部門がこれに参加すると述べました。
米国防総省のブリーフィングルームで行われた記者会見で、米政府高官は同盟国との関係の再調整について説明しました。注目されるのは、新戦略の基本的考え方の二番目の柱として、同盟国の役割の拡大と新たに協力関係を築くことを重視していることです。
米政府高官は、同盟国や友好国との関係について域外派遣にも言及。その関連で「世界的、地域的問題、同盟国の役割の拡大、さらに不安定な諸問題についての見方で、国防総省が最も注目するのは、世界的規模で軍隊を配備する力を備えた国が(軍隊を域外に)遠征派遣することだ」と指摘しました。
また、「ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国の軍が米中央軍の指揮下に置かれてきている。これは、米国のパートナーである国々のほか、米国にとっても、とても重要な現実である。異例だが新しい現実だ」と述べています。これは、イラク戦争やアフガニスタンでの作戦に各国の軍隊が参戦していることを指すのは明らかです。
二十五日に発表されたブッシュ大統領の声明では、具体的地域は明らかにしていません。しかし、米政府高官は会見で、「日米安保条約の役割をどう変えるのか」との質問にたいし、「同盟関係にある日本は、依然信頼すべきものであると確信している」と明言。日本との同盟関係を引き続き堅持していく構えを示しました。新戦略の中でも日米安保体制が重要な役割を果たすよう期待していることを示唆しています。(伊藤元彰記者)