日本共産党

2003年11月27日(木)「しんぶん赤旗」

「エコロジカル・フットプリント」とは?


 〈問い〉 日本の「エコロジカル・フットプリント」は国土が提供する面積の何倍にもなると聞きましたが、どういう意味ですか。(千葉・一読者)

 〈答え〉 環境・生態学(エコロジー)と足跡(フットプリント)を組み合わせた「エコロジカル・フットプリント」とは、ある地域の人間の生活を支えるのに、どれだけ“生物学的に生産可能な土地・水域”が必要かを面積であらわしたものです。人間が“踏みつけ”ている生態系面積といった意味合いをもち、「経済の環境面積要求量」などとも訳されます。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のウィリアム・リース教授などが開発した指標です。

 エコロジカル・フットプリントは、消費資源の量を、平均的な生物学的生産力をもつ土地の面積に換算して算出します。例えば、ある国が穀物を消費することによるフットプリントは、その生産に必要な耕作地面積ととなります。魚介類の消費は漁場の面積として考えます。エネルギー源として石油などを燃焼させたフットプリントは、排出二酸化炭素の吸収に必要な森林面積となります(海洋に吸収される二酸化炭素分を除く)。水力発電のフットプリントはダムや貯水池の占有面積に相当します。

 地球の生物学的生産力は有限で、表面積の四分の一に満たない地域に集中しています。エコロジカル・フットプリントの動向の推計を毎年発表している世界自然保護基金(WWF)によれば、世界のフットプリントは一九七〇年代に地球の生物学的限界を超え、二十世紀末には二割も超過しました。超過分は生態系などの食いつぶしで賄われることになります。

 フットプリントはアメリカや日本、欧州など、一部工業国に偏っています。二〇〇一年度『環境白書』でも引用されたWWF推計は、日本は国民一人あたりに国土が供給可能な〇・八六ヘクタールを超え、海外を含む五・九四ヘクタールの環境を踏みつけており、世界が日本なみに踏みつければ二・七個分の地球が必要だとしています。

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 〔2003・11・27(木)〕


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