日本共産党

2003年12月1日(月)「しんぶん赤旗」

イラク北部

日本人外交官2人殺害

会議出席途上に銃撃

「狙われていた」の情報も


米英以外への攻撃

 米軍へのテロや武力攻撃が頻発しているイラク北部のティクリット近郊で、現地時間二十九日午後五時(日本時間同十一時)ごろ、日本人外交官二人が銃撃され、死亡しました。外務省によると、殺害されたのは、奥克彦参事官(45)と井ノ上正盛三等書記官(30)。二人が乗った車のイラク人運転手(54)も殺害されました。米英両軍の不法な占領支配が続くイラク国内で、攻撃対象が無差別化する中、日本人の犠牲者が出たのは初めて。福田康夫官房長官は三十日午後、川口順子外相と協議した後、記者団に「テロの可能性が強い」との見方を示しました。

 政府はイラク特措法に基づき、同国への自衛隊派兵のための基本計画を今週中にも閣議決定する方向で最終調整しています。しかし、今回の事件は、イラクの治安情勢が、「戦闘地域には自衛隊を送らない」という同法の建前とかけ離れていることを改めて示すものです。

 小泉純一郎首相は三十日午前、東京・五反田の首相公邸で岡本行夫首相補佐官らと対応を協議し、自衛隊派兵の方針に変わりがないことを強調しました。

 外務省によると、米国主体のイラク占領当局(CPA)から事件の連絡がありました。奥参事官ら二人は、軽防弾仕様の黒の四輪駆動車で、米軍主催の会議が開かれるティクリットに向かっていました。奥氏らの身元は、CPAが現場付近の住民宅で二人のパスポートを入手し、確認されました。二人は警護要員を付けていませんでした。外務省は使用された武器は「小火器」としています。二人の遺体はティクリットの病院からバグダッドの日本大使館に向け搬送されました。

 「奥参事官は一カ月ぐらい前から反米勢力に狙われていた」(外務省筋)との情報もあります。奥参事官は在英日本大使館から長期出張中で、井ノ上三等書記官はアラビア語の専門家で四月末に赴任していました。

 外務省は、緊急対策本部(本部長・川口外相)を設置し、二人の遺体引き取りと情報収集のため田中和徳外務政務官をクウェートに向け派遣しました。


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