2003年12月1日(月)「しんぶん赤旗」
戦火のイラクで、ついに日本人が銃撃の犠牲となりました。外務省は三十日、北部の都市ティクリット付近で、日本大使館員の二人が殺害されたと発表。イラクで人道支援をおこなう市民団体や関係者にも衝撃が走り、あらためてイラクへの自衛隊の中止を求める声が上がっています。
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名古屋市では民主青年同盟と日本共産党とともに日本を変えるネットワークの青年たちが午前十一時から栄で、同午後三時からは金山総合駅頭でイラク派兵の是非を問うシール投票、反対署名行動をしました。
同駅頭では八田ひろ子参院議員も参加し、「いま、イラクに武装して自衛隊が最初に飛び立つのは小牧基地のC130H輸送機。それを食い止めるため平和憲法を守れ、国連中心のイラク復興を、の声を一緒に大きく広げていきましょう」と訴えました。
行動に参加した西春町の女子学生(22)は「ちっちゃいころは憲法があるから日本は戦争しないんだって、憲法が大好きでした。このままじゃ普通に戦争しちゃう国になってしまうと。だから自衛隊派兵は絶対に食い止めたい」と語りました。
秋田県内の幅広い市民が参加する「有事法制の廃案をめざす共同行動事務局」は、秋田市中通の中央街区で、「自衛隊のイラク派兵許すな、憲法九条守れ日曜市民デモ」をおこないました。
本荘市から参加した女性(57)は、「(デモを)やらざるを得ない気持ち。国民がもっと盛りあがれば自衛隊派兵を阻止できるかもしれない。本気になって(派兵反対の声を)上げないと」と話していました。
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「アメリカのために若者を死なせるな!」――仙台市で市民ら二十人が集まり、自衛隊派兵反対を訴えて繁華街を行進しました。呼びかけたのは「核兵器廃絶市民行進の会」。参加した矢部真理さん(25)は「派兵を強行しようとしている小泉首相には、『命を何だと思ってるの?』って言ってやりたい」と話しました。
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日本共産党沖縄県委員会が、那覇市のむつみ橋で行った自衛隊のイラク派兵反対署名行動には、ベビーカーを押す若い母親や中高生、沖縄戦を体験したお年寄りたちが次々に足をとめ、怒りを込めて署名に応じる姿があちこちで見られました。
この行動で赤嶺政賢衆院議員は宣伝カーから訴えました。
署名に応じていた佐敷町の女子中学生四人組は「イラクの子どもと私たちは同世代、殺されていくのは不平等…。子どもたちの未来を返してほしい」「何も残らない意味のない戦争とそれをわざわざ応援しに行くようなことはやめてほしい」と口々に話しました。
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日本共産党の塩川鉄也衆院議員は、応援に入った埼玉県朝霞市議選で、イラクで外務省の職員二人が殺害された事件にふれ、イラクへの自衛隊派兵を強行しようとする小泉内閣を批判しました。
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午後、日本共産党の、はたの君枝参院議員(神奈川選挙区候補)は川崎市のJR川崎駅ルフロン前で、緊急の街頭演説に立ち、「イラクへの自衛隊派兵はただちに中止を」と訴えました。
訴えに市民が手をふってこたえるなど、反響を呼びました。
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日本共産党の大門実紀史、紙智子両参院議員は札幌市の中心街パルコ前で街頭演説に立ち、「大変痛ましい事件が起きた。このような蛮行は許されない」「イラク情勢はきわめて悪化しており、自衛隊を送りこむのは絶対にやめるべきだ」と訴えました。
「自衛隊をイラクに派兵するな」の横断幕を掲げ、署名を訴えると、多くの人が足を止め署名しました。
在イラク日本大使館員二人が殺害されたことを受け、派遣が検討されている航空自衛隊小牧基地のある愛知県では、隊員や家族から不安の声が寄せられています。
同基地(小牧市)では、隊員や家族らは口を一様に閉ざしたままです。しかし、一部の隊員からは「安全でないことが証明された形で、やはり不安になる」と動揺の声が漏れました。
ある隊員は一報を聞いて「えっ、本当ですか」。「危険性は感じていたが、現実に起こるとは…」とショックを隠しきれません。「今後政府がどのように対応するのだろうか」と心配そうです。
隊員の家族らは一様に硬い表情。隊員の妻は「まだ詳しいことは何もわからないので…」と足早に家に入りました。
日本共産党の緒方靖夫参院議員・国際局長は、党イラク問題調査団(団長・緒方氏、赤嶺政賢衆院議員、森原公敏国際局次長)が六月、現地調査に行った際、バグダッドで今回の事件で犠牲になった二人の日本人外交官に会っています。三十日、事件の報に緒方氏は、次のように語りました。
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もしかしてイラク訪問のときにお世話になった人ではないかと気になりましたが、このお二人だとわかり残念です。
奥参事官とは、バグダッドの日本大使館で大木正充イラク担当大使と懇談した際、あいさつを交わしました。井ノ上書記官は、私たちが暫定行政当局(CPA)を訪問したとき、入り口で出迎え、厳重な警戒態勢が敷かれているなか、立ち会ってくれました。CPAが置かれているのはフセイン前大統領の宮殿だったところで、建物の案内も含め二時間半にわたって立ち会ってくれました。
イラクでは外交特権が認められておらず、大使館の警備も自前でやらねばならないなど、外交官の安全は保障されていない状況でした。
調査では、ユニセフ(国連児童基金)バグダッド事務所のクラインビーグマン次席・上級プログラム調整官にも会いましたが、八月の爆弾テロで亡くなっています。私たちが会った人の犠牲が続くのはやりきれません。今回犠牲になった二人も、外交官としての任務遂行にがんばった人たちです。蛮行に怒りを覚えます。