2003年12月2日(火)「しんぶん赤旗」
イラク中部に兵士約二千三百五十人を派兵し、二十一カ国約九千人の兵士の指揮を米軍に委ねられているポーランドで、イラク駐留に反対する声が強まっています。駐留反対世論は十一月初めにポーランド兵の死者がでると急増しました。政府は駐留を続けるとしていますが、ミレル首相が米政府閣僚を批判するなど、微妙な変化も起きています。
イラク駐留のポーランド兵が初めて死亡したのは、十一月六日。バグダッド南東の町ムサイヤブで兵士十六人が車四台で巡視中に銃撃され、少佐(44)一人が死亡しました。二十一歳の娘と夫人が後に残されました。国内に“衝撃”が走りました。
クワシニエフスキ大統領は直後に、「私の人生と大統領任期中で最も悲しい瞬間だ」と述べ、遺族に哀悼の意を表明しました。しかし、ポーランド軍のイラク駐留方針に変更がないことを明言。その後、イラク人に主権を移譲するまで駐留すると述べています。ミレル首相も十一日、急きょ訪問したイラクのバビロンで、ポーランド兵を前に演説し、イラク駐留を継続すると強調しました。
野党各党はいっせいに反発しました。「自衛」のレッペル党首は、「われわれは撤兵のためにできることをすべてしなければならない」と主張しました。「ポーランド家族連盟」は、「派兵は憲法違反だ」と述べ、政府を批判しました。
反戦世論も急増しています。十一月二十八日発表のCBOS世論調査によると、ポーランド軍のイラク駐留に反対は67%で、前月よりも10ポイントも上昇。
国内の圧倒的派兵反対世論を受け、ポーランド政府首脳の発言にも、これまでの徹底した対米追随から微妙な変化がみられるようになっています。ミレル首相は十一月十六日、ポーランドのラジオ放送で、軍事力増強によるイラクの状況改善を訴えるラムズフェルド米国防長官を批判して、「この米国の政治家からは、イラクでの系統的な軍事力増強の信奉者という印象を受ける」「これは正しくない。政治的手段で解決するべきだ」と述べました。