2003年12月2日(火)「しんぶん赤旗」
イラクで十一月三十日に韓国人の電気技師四人が死傷したことを受け、韓国の市民団体は追加派兵反対の活動をいっそう強めています。ソウル市内では一日、政府に派兵撤回を求める集会が各所で開かれました。
尹永寛・外交通商相は一日、記者会見で「派兵問題はこの事件による影響を受けないだろう。既存の派兵方針は変わらない」と言明。工兵・医療などの非戦闘部隊と戦闘部隊で混成する三千人規模の部隊を派遣する計画を推進する姿勢を示しました。
その一方で、「さまざまな状況、特に政治状況が不透明な点もある」「今回の事件も考慮するだろう」とも述べ、派兵計画になんらかの影響が出る可能性も否定しませんでした。
政府の派兵方針に対し、三百五十一の市民団体がつくる「イラク派兵反対国民運動(国民運動)」は同日、米大使館前で集会を開き、「この(電気技師らへの)攻撃は韓国政府の派兵決定に対する攻撃であり、米占領軍の側に立つ国はイラク人の敵とみなすということ」だと指摘、「侵略戦争支援と派兵方針を再検討せよ」とする声明を発表しました。
また、国防省が事件を理由に戦闘部隊中心の派兵を主張しているとの報道について、「国防省の主張は、さらなる敵対行為をまねくもので、大きな悲劇の悪循環をもたらす」と批判しました。
盧武鉉大統領は一日、主要閣僚と補佐官を集め国家安全保障会議(NSC)を開き、イラクに滞在中の韓国人の安全確保に全力をあげるよう指示しましたが、追加派兵についてはいっさい言及しませんでした。
これに対し、有力市民団体の参与連帯は「韓国人の殺害は追加派兵を念頭においた意図的なものだろう。根本的な対策は派兵撤回だけだ。現地の安全対策で解決できる問題ではない」と指摘しました。