2003年12月4日(木)「しんぶん赤旗」
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は三日、二〇〇四年度予算要求・中央行動に取り組みました。年金から生活保護、国保まで多彩な要求をかかげ、全国から約二百八十人が参加、「私たちの運動で生活破壊のねらいをはね返そう」と各省庁と交渉しました。日本共産党国会議員団とも懇談しました。
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年金問題の要請には約五十人が参加。保険料値上げと給付減を盛り込んだ厚生労働省の年金改悪案の撤回、物価下落を理由とした現行年金額の切り下げをおこなわないこと、保険料滞納者への差し押さえなどの強制徴収は中止することなどを要求しました。
年金改悪案について同省の担当者は、「現行制度の維持が困難になっているもとで、少子高齢化に備え、高齢者の生活を確保できる水準に保つためには不可欠」と説明。物価スライドについても「年金の維持を目的に導入したもので、増額だけではなく、物価が下がれば減額も想定して設けられたものだ」と強弁しました。
参加者からは、「月収五十万円の人と十数万円の人では、一本百円の大根を買うにも負担感が違う。月数万円の年金生活者に減額を強要するのは納得できない」などの実態が出されました。
社会保険庁が保険料滞納者への強制徴収を指示し、差し押さえの手段も示していることについても怒りが集中しました。
同庁の担当者は、「あくまで悪質なケースを対象としたものだ」と回答し、納めたくても納められない人を強制徴収の対象としないよう各県に徹底すると明言。岐阜県社会保険事務局が滞納者を「妖怪(ようかい)」にたとえた広告(「しんぶん赤旗日曜版」十一月三十日号一面)を出したことについて、不適切な広告・資料はやめるよう求める通知(十一月十三日付)を全国に出したことを明らかにしました。
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厚生労働省の担当者は席上、「年金は生活を保障するものではなく所得を保障するもの」などと発言。参加者からは、「何を根拠とした発言か」「憲法二五条で保障された生存権の考え方を逸脱している」と抗議の声が相次ぎ、紛糾しました。担当者は発言の根拠を問われたものの、答弁不能となりました。
国民年金法第一条は、憲法二五条二項に基づき、健全な国民生活の維持、向上に寄与することを目的とする、と規定しています。担当者は参加者の求めに応じ、当該条項を朗読。参加者は「所得保障だという規定はどこにもない。発言を撤回したらどうか」と指摘しました。しかし同担当者は、「(年金制度は)所得の損失を保障することで生活を安定させるというもの。限りなく保険料を上げられるわけではないので、制度の維持のためには、バランスを考えることが必要」などと繰り返しました。
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厚生労働省の谷畑孝副大臣に対して全生連は、社会保障・社会福祉の改善を求めました。
要請内容は(1)生活保護、児童扶養手当の国庫負担比率の引き下げを行わないこと(2)「物価スライド」を口実とした年金や生活保護費などの引き下げはしないこと(3)高齢・母子加算の廃止・縮小など生活扶助基準の引き下げをしないこと―などです。
出席者は「生保を申請したら家を売って老人ホームへ行けといわれた。申請権を認めてほしい」(福岡)、「市営住宅も建て替えで家賃が高くなっている。低い年金の高齢者は、風呂にも入らずテレビの明かりで食事をしている人もいる。これ以上の年金額の引き下げはやめてほしい」(北海道)などと切実な現状を訴えました。
要請には井上美代参院議員、小池晃参院議員が参加しました。