2003年12月4日(木)「しんぶん赤旗」
国連のアナン事務総長は三日、ロサンゼルスの世界問題評議会で演説し、国際社会が国連を中心にして共同行動することの重要性を強調。米国に対し単独行動を控えて国連の枠組みを尊重し、各国と協調するよう訴えました。同評議会の創立五十周年にあたり「国連の重要性と世界の未来」をテーマに記念演説したもの。
同総長はこのなかで、「米国の指導性は国際的に広く受け入れられている」と指摘しながら、「それが多国間の枠組みで、対話や外交を通じた粘り強い連合形成や国際法の強化を目標におこなわれるなら、いっそう称賛され効果的になるだろう」と述べ、暗に米国の姿勢を批判し各国と協調するよう促しました。
同事務総長は、国連が二度の世界大戦とユダヤ人の大虐殺、原爆という悲劇の教訓から生まれたことを想起しつつ、国際社会がこれまで国連を中心にさまざまな問題に取り組んできたと強調。
それがいまイラク戦争をめぐって、戦争を支持する諸国と反対する諸国の間で「新しい分裂」が生まれていると指摘。
またイスラム諸国の一部と西側諸国の一部の間では不必要な不信が、さらに南北の諸国の間にも分裂がみられ、こうした対立のなかで「一部では国連の重要性に異議さえ唱えられている」と強い懸念を表明しました。
同総長はしかし、テロの拡大など最近の事態は国際的な共同行動の必要をいつにもまして示していると述べ、大量破壊兵器の拡散防止や、破たん国家の再建でも国連が中心となった国際的共同行動が必要だと強調しました。