2003年12月11日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン9日浜谷浩司】米国防総省が、イラク戦争に反対したフランス、ドイツ、ロシア、中国などの企業をイラク復興関連事業の契約から締め出す通達を出していたことが九日、明らかになりました。戦争反対の諸国にたいしてさまざまな差別的な政策をとっていますが、実質的な損害をもたらす露骨な報復措置が表面化したのは初。
九日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、通達はウルフォウィッツ国防副長官名で五日に出されました。反戦諸国の企業の排除が「米国にとって不可欠の安全保障上の利益を守る上で必要だ」と強調しています。
また米国と、イラクをはじめ英国や日本など「連合パートナー・部隊派遣国」と指定された六十三カ国の企業だけが、契約の入札に元請けとして参加できるとしています。太平洋の島しょ国も含まれ、事業総額は百八十六億ドル(約二兆円)にのぼります。
両紙とも、こうした措置を批判する談話を紹介しています。
これに先立ちブッシュ大統領は四日、イラクの債務問題を担当する特使に、かつて国務長官や財務長官を歴任したジェームズ・ベーカー氏を起用。フランスやドイツ、ロシアに債務の帳消しを迫ろうとしています。